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「震災障害者」兵庫で初の調査――民間団体、自治体動かす(ニュースの理由)
1995年に起きた阪神大震災の際のケガがもとで障害を負った「震災障害者」について、兵庫県と神戸市が初の実態調査に乗り出した。医療ケアと支援体制は適切だったのか検証し、年内をめどに大規模災害時の課題を洗い出す。従来、その人数すら分からなかったが、震災から15年を経てようやく光が当たる。
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県と市は6日、震災障害者が県内で少なくとも328人に上り、うち117人はすでに死亡したと発表した。肢体不自由や視覚・聴覚、内臓の障害などで、95年から今年3月に身体障害者手帳の交付を申請した約32万件の中から申請書の原因欄の記述などで特定した。
ただ今回は身体障害のみが対象。震災との因果関係を明示しなかった例もあるとみられ、関係者の間には「実際には1千人以上」との見方もある。
これまで市の調査は若干先行していたが、国と県は震災障害者の存在を全く把握していなかった。なぜ15年間放置されたのか。「障害を負った場合、ほかの原因の障害と同様、優遇制度の対象になる。震災障害者を区別する必要はない」。そんな考えが行政当局に根強いのが大きな原因だ。
流れが変わったのはこの1〜2年。障害者を支援する民間団体の活動から、実情の一端が明らかになったのが大きい。3月には、復興政策を検証する兵庫県の第三者委員会が実態調査に取り組むよう県に「勧告」した。
震災障害者の場合、障害に加え、様々な問題に直面することが多い。ケガの原因になった家屋の損壊やその再建に要する経済的な負担のほか、家族や仕事を失ったケースも少なくないとみられる。
公的な支援も十分ではない。災害で死亡・負傷した人には災害弔慰金法による見舞金制度(最高250万円)があるが、「重度の障害者などに対象が限られる」(県復興支援課)。阪神大震災で1万683人が重傷を負ったが、見舞金が出たのは64人だ。
震災障害者を支援する民間団体「よろず相談室」(神戸市)の牧秀一代表は「今後起こる大災害に備え、支給要件の緩和など補償の拡充が不可欠」と強調する。
こうした中、研究者や非営利組織(NPO)関係者らでつくる日本災害復興学会(兵庫県西宮市)は震災障害者に対する国・自治体の支援のあり方や法改正の必要性の検討に着手した。10月に提言をまとめる。会長の室崎益輝関西学院大教授は「早期治療と持続的なケアの仕組みづくりが必要だ。専門の相談窓口や障害者どうしの交流の場も検討課題。国に対策を求めたい」と話す。
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中井洽防災担当相は国会答弁などで「災害で障害を負った人のケアは本当に遅れている」「国として何ができるか検討したい」と発言している。しかし、国に表立った動きはないのが実情だ。
首都直下型や東海、東南海、南海地震といった大規模震災のリスクは今後高まる。防災・減災の取り組みはもちろんだが、障害者対策を含め発生後に避けられない課題にどう備えるのか。検討すべき時が来ている。
(編集委員 川上寿敏)










