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グローバル犯罪に備えを(社説)

2010年08月18日 / 日本経済新聞 朝刊 このエントリーをはてなブックマークに追加

 警視庁が国際手配した欧州を根城にする強盗団「ピンク・パンサー」の一員がスペイン当局から引き渡され、先週末、日本に到着した。仲間による襲撃・奪還を恐れヘリコプター2機まで動員した物々しい護送の様子に、国際犯罪組織が日本の治安を脅かす現実を見る思いがする。

 2010年版警察白書の特集は「犯罪のグローバル化」だ。メンバーの大半が旧ユーゴスラビア出身の「ピンク・パンサー」が07年6月に東京の宝石店で2億8千万円相当の宝飾品を強奪した事件も出てくる。

 短期滞在の外国人が日本でカネ狙いの犯罪を働いたり、日本の犯罪者が治安の悪い外国に日本人をおびき出して襲う事件はこれまでも多くあり、警察庁は「来日外国人犯罪」「犯罪の国際化」と呼んできた。

 それとは別の新しい言葉「犯罪のグローバル化」を特集の表題にした理由は、白書によれば「最近の事例には『犯罪の国際化』の次元をこえた質的な変化がみられる」からだ。

 変化とは(1)国際犯罪組織が入り込んできた(2)犯行グループの国籍が多様化した(3)A国で日本人が誘拐され、B国の銀行口座に身代金を振り込めと脅すメールがC国から届くといった具合に、犯行の舞台が世界規模に広がった――の3点という。

 経済のグローバル化が深化すれば、ヒト、モノ、カネ、情報の国境を越えた行き来はさらに盛んになる。「犯罪のグローバル化」がこれから一層進むのは間違いない。

 白書で例示した、警察がとっている対策は多岐にわたる。

 国内では、国際捜査ができる警察官を育て、都道府県警察が合同で情報収集・事件捜査をできるようにする体制づくりを急いでいる。犯罪組織の勢力が浸透しないよう外国人コミュニティーを孤立させない地域ぐるみの防犯運動も効果が期待できる。外国との間では、各国の治安機関とくに中国・韓国の当局と信頼・協力関係を高め、また犯罪人引き渡し条約や刑事共助条約を結ぶ相手国を増やすのが取り急ぎの課題だ。

 「犯罪のグローバル化は、国内治安の『正面の脅威』となる危険性がある」と白書が強調した危機感を警察以外の関係当局も共有して、備えを固めたい。

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