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巣鴨信金の入金取次帳管理システム――専用ペンで記入、電子化(ICT構築最前線)
安全性と業務効率化 両立
巣鴨信用金庫が入力用の特殊なペンを利用し、入金記録業務の電子化に取り組んでいる。大日本印刷と共同でシステムを開発し、2009年10月から試行を開始。セキュリティー強化とともに、業務効率の改善につながるとして、今年6月までには全43店舗での導入を決定した。
「○年△月×日、普通預金、200万円、現金......」。信金の営業員は顧客先を訪れると、預かった金額などの取引内容を入金取次帳に記載する。入金取次帳は顧客ごとに発行される控え証だ。顧客は取引内容を確認して押印。通常、有効期間の1年間は顧客の手元に保管され、営業員が来訪する都度、取引内容を記載していく。
この入金取次帳の記載内容をデータ化し、電子的に管理するシステムが巣鴨信金の「入金取次帳管理システム」だ。営業員に特殊なペンを持たせて顧客先でデータ入力。各支店に戻りペンからパソコンにデータを送ると、営業員別などの管理帳票を出力できる。「データの安全性と営業員の操作性を両立させた」と、事務部の佐野吉弥部長は話す。
同システムの特徴は、超小型のカメラを内蔵した特殊なペンと、微細な点パターンを印刷した専用紙を使うことだ。点は0・3ミリメートル間隔で印刷されており、取引内容をペンで書き込むと、数字や文字の軌跡と背景の点パターンをカメラで撮影する。数字や文字を、点パターンからXY軸の座標データとしてペンのメモリーに蓄積。座標データをパソコンに送り、数字や文字に変換する。
ペンでは座標データとして蓄積しているため、紛失しても取引内容が漏洩(ろうえい)しないという。取引内容とともに記入時刻も記録され、改ざんなどの防止効果も期待できる。スウェーデンに本社があるアノトABが開発した技術を活用しした。
社会的にリスク管理意識が高まり、巣鴨信金は以前から入金取次帳のシステム化を推進しようとしていた。ハンディターミナルといった携帯端末を営業員に持たせて電子化を図るという選択肢もあったが、「操作性など営業員への負担が大きいという点で二の足を踏んでいた」(佐野部長)という。「これだ」と佐野部長の決意を促したのは、紙とペンを使う従来の作業をそのまま継承できるという点だった。
新システムで営業員が使うのは専用のペンのみ。ペンの外観は小型カメラやとメモリー、プロセッサーが内蔵されている以外、通常のボールペンと変わらない。このペンで専用紙を用いた入金取次帳に記入するだけで、従来の業務とほとんど変わらない。
それでも導入に際しては苦労があった。佐野部長が操作性に自信を持っていても、営業員は不安を感じる。特殊なペンを使うシステムは、国内でも例がなかった。そこで佐野部長は営業部門に何度も出向き、システムを詳しく説明して納得させた。実際にシステム導入の際に、営業員に実施した研修はわずか1時間。営業員が新しい作業に慣れるまでにもほとんど時間がかからなかった。
350本のペンを含めたシステム導入の初期投資額は、約4000万円だった。
「紙とペンを用いることは、顧客にとっても従来と変わらない安心につながっている」と佐野部長は話す。顔と顔をつきあわせ意思を確認することで信頼関係が築かれている信金の業務。デジタル一辺倒ではなく、紙というアナログな部分も残している同システムの特性が、信金にピッタリと合致した事例と言えそうだ。(当广千晶)










