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埼玉の飯能市役所、遠隔監視導入――水路の様子、携帯回線で(実践ICT)

2012年01月20日 / 日経産業新聞 このエントリーをはてなブックマークに追加

監視カメラは電源いらず

 埼玉県の飯能市役所は昨年10月、水路の状態を遠隔監視できるシステムを導入した。雨が降ると水が氾濫する場所に監視カメラを設置し、NTTドコモの携帯電話回線を使って撮影画像を定期的に管理サーバーに送る。夜間や休日に職員が自宅からネット経由で現場の様子を確認できるようにしたことで業務を大幅に効率化できた。

 監視カメラを設置したのは、藤田堀と呼ぶ水路と下水道管の接続部分。雨水と一緒に流れてきた草木などが詰まると氾濫する恐れがあるためだ。実際、10年ほど前に水があふれて道路が冠水したことがあり、近隣住民の不安の種となっている。「雨天が続くと近隣住民から水位を心配する電話がかかってくる。職員も神経をとがらせて現場を定期的に監視していた」(建設部参事の櫻井茂・下水道課長)

 雨が降ると心配なので必ず現場の様子を確認に行く。「梅雨や台風の時は1日2、3回のときもある」(建設部下水道課の白須靖之主任)。週末に雨が降った場合に備えて毎週金曜日も欠かさず現場に出向く。接続部分にゴミがたまっていた場合はくわのような道具で除去する。

 ただこの運用では効率が悪い。現場は市役所から車で約10分だが、ゴミの除去は1人で作業すると危険なので必ず2人で行く。ゴミがたまっていなかった場合は完全に無駄足で終わってしまう。当初はゴミ除去の手間を減らすことを考えたが、ゴミを引き上げる装置だけで最低500万円程度かかる。ゴミの除去作業は現状維持として、監視の効率化を検討した。

 そこで目を付けたのが日本無線の遠隔監視システム「スタンドガード」だ。同システムでは携帯電話回線経由で監視画像を管理サーバーに送り、一般のブラウザー(閲覧ソフト)を使ってインターネット経由でどこでも確認できる。専用ソフトの導入が不要で、職員が夜間や休日でも自宅から使える。

 電源が不要な点も評価が高かった。監視カメラと太陽光パネル、蓄電池がセットになっており、電源の引き込みが不要。パネルと蓄電池のセットを2つ用意し、日照時間が全くなくても約2週間監視できるようにした。カメラにはLED照明もあり、夜間の撮影時には10秒ほど点灯することで鮮明な映像を撮れる。

 工事費を含めた導入費は約157万円と、ゴミ引き上げ装置の3分の1以下で済んだ。管理サーバーの運用は日本無線の指定業者のイートラスト(新潟県長岡市)に委託しており、携帯電話回線の通信料を含めた利用料は月7560円。

 画像を大量に撮影するとパケット通信量が増えて高くなるが、同料金で1日当たり24枚まで撮影できるので問題になっていない。現在は毎日午前8時と午後4時の2回に撮影するだけ。雨の日に心配になった場合は随時撮影するが、24枚まではいかない。

 今回のシステム導入で現地確認の無駄足はなくなった。「水路の確認に神経も労力もかけてきたが、職員の負担は大幅に減った」(櫻井課長)。建設部は工事現場の管理や苦情対応などで日々の業務に追われる。労力を減らした分はほかに振り分け、業務全体の円滑化につなげる考えだ。

(榊原康)

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