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「a&s JAPAN」最新号より

入退管理システムと他システムの連繋(2)

2009年07月24日 このエントリーをはてなブックマークに追加

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他のシステムとの連繋

 入退管理システムと連繋できるシステムには、ビル管理システムや勤怠管理システム、会議室予約システムや情報機器のログインシステムなどがある。ビル管理システムの場合、従業員が最終退出を確認した後に、空調・照明をオフにし、消し忘れ防止、省エネに役立てることができる。また、エレベーターとも連動し、入退管理システムの個人認証に連動して呼びボタンを押すことができ、さらに目的階設定が可能となり縦動線のセキュリティを強化できる。会議室予約システムの場合は対象会議室の予約対象者・時間等の条件を入退管理システム側で判断し、個人認証した上で該当会議室が使用できる。

都市開発システムグループソリューション事業統括本部セキュリティソリューション本部セキュリティエンジニアリング部企画グループリーダー主任技師 古谷雅年氏
都市開発システムグループソリューション事業統括本部
セキュリティソリューション本部セキュリティエンジニアリング部
企画グループリーダー主任技師 古谷雅年氏

 「ビル管理システムにはBACnetという標準規格があり、日立の入退管理システムでは同規格に準じている」と日立製作所の都市開発システムグループソリューション事業統括本部セキュリティソリューション本部セキュリティエンジニアリング部企画グループリーダー主任技師の古谷雅年氏は語る。これまでの入退管理システムでは、それぞれが独立して整備されることが多く、各社は独自の規格を使用している。入退管理システムは物理セキュリティそのものとも言えるので、ビル管理システムのように規格をオープンにしにくいという事情もある。入退管理システムを導入する際には、全拠点で一括ということは少なく、段階的に導入するのが一般的だ。このため、本社と支社で導入している入退管理システムのメーカーが異なるケースも多い。

イトーキ営業本部
セキュリティ情報機器推進部 部長田宮尚男氏
イトーキ
営業本部
セキュリティ情報機器推進部 部長
田宮尚男氏

 その場合に共通インターフェースとなるのがICカードである。ICカードには、SSFCという標準規格があり、SSFCに準拠していれば、入退や印刷複写機器、ロッカーや書庫、PCログインなどの各システムでICカードの共用ができる。イトーキ営業本部セキュリティ情報機器推進部部長の田宮尚男氏は「SSFC対応のカードが1枚あれば、入退からログイン、コピーまでが可能になる。SSFCに高い関心を示す顧客も多い」と語る。同社は、SSFC対応機器を提供している。「SSFC対応の機器も増えてきたが、いち早く取り組んでいる当社の優位性は高い」と田宮氏は胸を張る。

 もちろんSSFCを使用して、1枚のICカードを複数のシステムで利用できるようになったとしても、それぞれのシステムが必ずしもリアルタイムに連繋しない場合もある。例えば入退管理システムと勤怠管理システムではCSVファイルなどで互いのシステムにデータを渡す方式による連繋もある。入退管理システムと勤怠システムの連動は便利な面もあるが、「入退と勤怠が完全に連動させる場合はソフト面・ハード面での対策が必要」と田宮氏は語る。対策が不備であれば仕事以外の用事で退社が遅れた場合に残業扱いになったり、理由を報告したりしないといけないからだ。「システムを統合すると利便性が高まる場合もあるが、迅速性など低下する場合もある」(田宮氏)。いずれ、法律などで労働管理が厳しくなった場合には、連繋せざるを得なくなるかもしれないが、闇雲に統合すればよいというわけではない。

日比谷総合設備
ビルシステムインテグレーションプロジェクトプロジェクトマネージャー森田孝史氏
日比谷総合設備
ビルシステムインテグレーションプロジェクト
プロジェクトマネージャー
森田孝史氏

 入退をPCログインなどと連繋させることも可能だ。入館情報がなければログインできないようにし、ログオフを忘れて退社した場合に自動ログオフするといったことができる。ここで問題になるのがこのシステムを担当する部署だ。「入退管理システムは総務部だが、PCサーバーの管理は情報システム部で、2部門の連繋が必要」と日比谷総合設備ビルシステムインテグレーションプロジェクトプロジェクトマネージャーの森田孝史氏は語る。物理セキュリティを担当する総務部と、情報セキュリティを担当する情報システム部の調整が必要で、調整がうまくいかず、システムがばらばらになることもある。また、同氏によると、最近では総務部に代わって情報システム部が入退管理システムもまとめて担当することがある。また、「システムが大規模になると情報システム部が案件に入ってくることもある」(イトーキ田宮氏)。

複数のメーカーと施工業者

日比谷総合設備
ビルシステムインテグレーションプロジェクトソリューション営業グループ 課長橋本祐志氏
日比谷総合設備
ビルシステムインテグレーションプロジェクト
ソリューション営業グループ 課長
橋本祐志氏

 ビル設備工事を得意とする日比谷総合設備は、施工だけでなく子会社ニッケイと共同開発した入退管理システム「NASCA」の提供も行っている。NASCAは、ビル設備工事業者としての強みを生かして、防犯や防災、電気、空調との連繋が強化されたシステムだ。「入退とビル管理システムとの連繋では、最終退出の情報を警備システムに渡し警備を開始するところまでは実施しているが、省エネまで考慮された連繋はまだ少ない」と同社のビルシステム・インテグレーションプロジェクトソリューション営業グループ課長の橋本祐志氏は語る。入退管理システムと照明や空調を連動させ省エネを図るというものだ。

 また、同氏によると、メーカーも設置施工会社も複数の場合、調整が難しくなることがあり、障害時の対応でも、責任の所在で紛糾することがあり顧客に手間を取らせることがあるとのことだ。「メーカーの枠を越えて様々な設備の連繋や調整を行い、責任を持って運用保守できるのは、設備工事企業ならではの特長」と自信を示す。

 NASCAを持つ同社だが、顧客の希望によって他社の入退管理システムの施工や運用保守を行うこともあり、混在環境での連繋ノウハウは強いようだ。

 「複数のメーカーが混在すると、施工や保守の際に問題が起きる場合がある」とイトーキの田宮氏も指摘する。パーティションなどにICカード読取機を埋め込む場合、パーティションなどの什器の設置企業と、入退管理システムの設置施工企業が異なった場合、寸法の取り違えや施工ミスの防止のための対応で納期やコスト面にも影響が出てきたり、故障時の迅速な対応ができない場合もある。「新しくテナントとして入った企業の担当者は、内装と入退管理それぞれの業者と交渉しなくてはならない」と語り、双方をまとめて施工できる自社の長所を強調した。

クマヒラ営業本部 営業企画部 広報課 課長黒岩達也氏
クマヒラ
営業本部 営業企画部 広報課 課長
黒岩達也氏

 「情報システムで、1社にまとめて構築や運用を頼むのと同様、物理セキュリティも1社にまとめたほうが良い。そうしないと障害原因の切り分けがしづらくなる」と語るのは、クマヒラ営業本部営業企画部広報課課長の黒岩達也氏。同社は自社製品を使い、金庫や入退、監視システムなどの物理セキュリティソリューションを提供している。その核となるのが、入退管理システムを含めた統合物理セキュリティシステム「GG-1」と、セキュリティ運用支援システム「GG-LinX」である。GG-LinXでは、人事異動に伴うID変更を自動化するシステム、監査に必要な運用レポートを出力するシステム、そして在籍/勤怠管理が行えるシステムが含まれている。「1つのICカードを複数のシステムで利用しようとすると、カードのシステム構造上の問題で実現できないこともあるが、当社なら入退管理システムのIDだけで他のシステムも使える」と黒岩氏は強調する。

仮に社員が5,000人いたとして、1日に6回ゲートを通ったとすれば、履歴は3万件になる。毎日莫大な履歴を分析できないので、システムが必要となる。
仮に社員が5,000人いたとして、
1日に6回ゲートを通ったとすれば、
履歴は3万件になる。
毎日莫大な履歴を分析できないので、
システムが必要となる。

 続けて同氏は、「たとえすばらしいシステムを持っていたとしても、管理できないなら無駄になる」と語る。例えば、入退管理システムを導入している場合、履歴(ログ)を分析することで、許可されていない扉を開けようとした社員や不正通行した社員が明らかになる。こうしたデータを元に、「なぜ権限のない部屋に入ろうとしたのか」、「なぜ自分の部屋に入るのにカード認証をせずに入室したのか」などを本人に聞き、状況を改善できる。しかし、ログを分析しないで放置しておいた場合、何も状況は改善せずに大事故になる可能性もある。仮に社員が5,000人いたとして、1日に6回ゲートを通ったとすれば、履歴は3万件になる。毎日莫大な履歴を分析できないので、システムが必要となる。このような分析までを考慮すると、同一メーカーでまとめたほうが利点は生まれてくる。

日比谷総合設備
ビルシステムインテグレーションプロジェクトソリューションSEグループリーダー神内景介氏
日比谷総合設備
ビルシステムインテグレーションプロジェクト
ソリューションSEグループリーダー
神内景介氏

 また、入退管理システムでは、運用や保守も大切な留意点である。「磁気カードから非接触カードに変更したためIC読み取り機が壊れることは少なくなったが、電気錠の故障は今までと同様に発生する。電気錠の業者がすぐに対応できない場合も多く、そうした問題にも対応できる企業を選ぶべき」と日比谷総合設備のビルシステムインテグレーションプロジェクトソリューションSEグループリーダーの神内景介氏は語る。また、間違って部屋を施錠し、閉じこめられてしまう可能性も皆無ではない。「万が一の場合にすぐにサポートを呼べる体制を持つ企業に頼むべき。当社には全国に銀行や信金などの金庫をサポートするチームがいる」とクマヒラの黒岩氏も語る。日立製作所も24時間365日体制にて運用サポートし、サービス拠点を全国350箇所に設置している。入退管理システムを構築する場所には、単に仕様や導入費用だけでなく、サポート拠点を持ち運用保守を適切に行うことができる企業かどうかも、選択の留意点になる。 (終)

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