「a&s JAPAN」最新号より
駐車場のセキュリティ事情(3)
ネットワークと連携した駐車場システム
監視カメラの映像をネットワーク経由で監視する場合、光ファイバーやADSLなどの固定回線や、PHSや3Gなどのモバイル回線が必要になる。回線のランニングコストを考えると、監視カメラの映像は常時ネットワーク経由で送るより、必要に応じて送るほうが安くなるが、前述したように、監視カメラの映像だけのために回線を用意するのは、駐車場経営者にとって前向きな材料とはならないようだ。そこで、ネットワークを利用する他のサービスも併用して、遠隔監視を実現させる例もある。
大手駐車場システムメーカーで、フラップ式駐車場システムでナンバーワンのシェアを持つ日本信号は、自社では駐車場業務を行わずにメーカーと徹し、システムを駐車場事業者へ提供している。その一例が、コインパーキング最大手のパーク24(タイムズ)への駐車場システムの提供だ。パーク24は、一部の駐車場でクレジットカードやSuica、EdyといったICカードで決済できるサービスを提供しており、Webサイトや携帯電話、カーナビから駐車場の空き情報を確認できるサービスも提供している。
日本信号情報システム営業部赤堀徹氏は、「今後、駐車料金をSuicaやPASMOで決済したり、パーク&ライドのような乗車履歴に連動した駐車料金サービスも増えてくるだろう。当社は鉄道信号や自動出改札事業も行っているため、この分野は得意分野」と語り、駐車場のキャッシュレス化は進むと予想する。続いて同氏は、「自社関連会社のIPOSネットでは、駐車場オーナーに対するネットワークサービスや運営、警備サービスを提供している。このようなセンター接続型の駐車場サービスは今後も増えていくだろう」と語り、ネットワークを活用した遠隔監視サービスの増加予測についてもコメントした。
キャッシュレス決済が行えることは、利用者の利便性を高めるだけでなく、料金精算機内に現金を置かないために、セキュリティも向上させられる利点もある。「そもそも料金精算機は金庫のように非常に強固な造りになっており、防犯ブザーなども完備しているため、被害を最小限に食い止めている 」(同氏)という。空車情報配信やICカード決済のような、利用者の利便性が向上するようなサービスを提供することで、駐車場を差別化し収益に結びつけることができるようだ。
車番認識システムやETC車載器の利用もセキュリティにつながる
駐車場システム業界の最古参で、業界大手である三菱プレシジョンも、日本信号のように規模を問わず駐車場システムを提供している。同社は、車番認識システムを自社開発しており、その精度でも定評がある。同システムは、車のナンバープレートの文字をカメラで読み取り認識し、駐車券に記録するというもので、事前精算機で支払った場合には、自動的に出口ゲートが開く仕組みとなっている。羽田や成田空港、デパートなどの大規模駐車場に導入実績を持つ。同システムは、他にも月極の駐車場契約者を認識してゲートを開けたり、VIPが乗った車を識別して出迎えたりするなどの用途にも使われているという。
同社社会・交通システム営業本部駐車場システム営業部駐車場システム第二グループマネージャー稲川宏朗氏は、「当社の車番認識システムは、ナンバープレートに刻印されている情報のすべてを98%以上の精度で認識できる。これにより、出口での渋滞をなくし、駐車券をなくした場合でも、いつ入場したかをデータ上で確認できるので、過小申告にも対応できる」とメリットを語る。
百貨店の場合は、POSシステムと連動させることにより、各店舗での購買データと連動し、お客さまカウンターに並ばずに、駐車料金の割引を受けられるようになる。従来型の駐車割引券の配布では、顧客や従業員が他人に割引券をあげてしまうケースもあったため、そうした不正を防ぐことができるようになり、駐車場の売り上げも確保できるようになったという。
同社が他に取り組んでいるのは、DSRCというシステムである。このシステムはETC車載器の機器IDを読み取り、ゲートを開閉させるというもので、自動車工場などに出入りするトラックが使用しているという。登録した車で、許可された時間帯にのみゲートが開くようになっているので、「工場内の駐車場を効率的に利用できるようになり、駐車許可証発行の手間もなくなった」(同氏)という。
また、コールセンターと連携したシステムでは、駐車場の映像をセンター側で確認し、遠隔操作でゲートのバーを上げ下げできるようになっているという。「料金や機器のトラブルがあった際でも、現地に行かずに対応できることはメリット」と稲川氏は語る。

(左)三菱プレシジョン 社会・交通システム営業本部 駐車場システム営業部
駐車場システム第二グループマネージャー 稲川宏朗氏
(右)三菱プレシジョン 社会・交通システム営業本部 計画部長 間野正裕氏
同社社会・交通システム営業本部計画部長の間野正裕氏は「まだネットワークに接続された駐車場は少ないが、今後は、ネットワークに接続して、遠隔監視や遠隔管理できる駐車場が増えていくだろう」と予測する。間野氏によれば、「今後は駐車場オーナー、駐車場管理会社、利用者それぞれに利点があるサービスの提供が必要」であり、監視カメラはその一要素となる。
小規模駐車場では安価な監視カメラシステム、大規模駐車場ではネットワークと連携した利便性の向上が、駐車場におけるセキュリティのキーワードとなりそうだ。

三菱プレシジョンの駐車場システム展示ブース
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