「a&s JAPAN」最新号より
高画質ネットワークカメラが開くクリアな識別の世界(3)
情報量の増大に伴う録画機器の進化
従来のDVR(デジタルビデオレコーダー)に対して、いまネットワークカメラの映像をIPネットワーク経由で大容量に記録するNVR(ネットワークビデオレコーダー)が注目されている。IPネットワークを利用するため、フルデジタルによる画質劣化の少ない鮮明な画像が得られ、もちろん遠隔地からでもモニタリングすることが可能だ。1台のハードディスクで2〜3テラバイトという大容量の映像記録が可能で、ハードディスクを拡張すれば、その記憶容量は数十テラバイトにもなる。ただ、価格面で高価ということもあり、その普及率はまだまだ低いのが実情だ。
現在、ネットワークカメラの監視カメラ市場におけるシェアは10%〜20%という発展段階にある。アナログカメラシステムという既存インフラを抱えているユーザーが数多くいるのが実情だ。そんなユーザーのために開発されたのがアナログカメラとネットワークカメラ双方の映像を記録できるハイブリッドDVRである。このハイブリッドDVRにより、アナログユーザーも、既存基盤を利用しながら、監視システムの一部をネットワークカメラに置き換えることが可能になった。
一方、MOBOTIXのシステムに見られるように、ネットワーク上のファイルサーバー(NAS)に直接画像を保存することができ、DVRなどの録画機器を一切必要としないユニークなシステムもある。いずれにしても、ユーザーはシステム規模に応じて十分な性能と録画容量を持った録画機器を選択することが重要だ。
ネットワークカメラの普及に向けた標準化が進む
昨年12月、米国ワシントンでONVIF(オープンネットワーク・ビデオ・インタフェース・フォーラム)の第1回フォーラムが開催された。このフォーラムの設立趣旨は、ネットワークビデオ機器間の国際標準インターフェースの策定、およびその普及を促進することである。具体的には、ビデオ機器間の通信仕様を標準化し、異なるビデオ機器間での互換性を確保すること。そして、その仕様はすべての企業や団体が使用することが可能であることをうたっている。
エンドユーザー、システム構築者、メーカーやソフトウエアベンダーなどすべての人にとって大きな利益となることが期待されている。本稿で取材した各社の中では、現時点でソニーとパナソニックが参加している。
オープンアーキテクチャ時代と各社の動向・今後の市場展望
時代の要請を受けて登場した高画質ネットワークカメラだが、その普及率はいまだに低く、発展途上ということができる。今後各社はどのように市場を開拓しようとしているのだろうか。
DYNACOLOR JAPANの松尾氏は「昨年3月のCCSマウントのメガピクセルカメラの投入から始まり、IP66を搭載した固定型ドームカメラの投入を経て、2009年は18倍のPTZカメラの投入を予定している。これで弊社のメガピクセルのIP化の第一段階は終了する。市場は間違いなく高画質・高圧縮が潮流なので、この動きに積極的に対応していく方針だ」との意欲をみせる。
また、360°全周囲監視の3メガピクセルカメラをすでに市場投入しているMOBOTIXの戸田氏は「ネットワーク上にある他の機器と通信できるターミナルとしての機能を持った弊社のカメラの良さを今後とも積極的にアピールしていく。いずれにしても圧縮技術の進歩が必要で、検索機能の向上も問われてくる」と抱負を述べる。
さらに、クロケットインターナショナルのトニー・クラークス氏は「クロ−ズドプロトコルの時代は終わる傾向にある。2009年投入のSarixシリーズは1メガ〜3メガピクセルまでをカバーする戦略製品である。映像解析機能がカメラ内蔵となっており、オープンAPIにより完全にアクセスできるため、サードパーティーのソフトでも利用できる」として、本格的な日本市場の掘り起こしの決意を示す。
一方、ソニーマーケティングの野村氏は「これまで病院での手術記録は、手術部位を撮影・記録する術野記録がほとんどだったが、医療事故などの事後検証に役立てるため、執刀医やナースなどすべての手術スタッフの動きを撮影する術場記録に、より高画質なネットワークカメラが採用されるケースが増えている」とネットワークカメラの新しい可能性に期待を寄せる。また、前述したONVIF対応の製品を2009年中に市場投入する予定だという。
2008年、メガピクセルのi-proシリーズ第2世代を世界同時投入したパナソニックの朝比奈氏は「高画質ネットワークカメラの理想は、人間がその眼で見たままを映し出すことにある。高画質の潮流を世界中に広げるためにも、カメラ高画質化の追求はもちろん、レコーダー、管理ソフトウエアや表示機器を含めたエンドtoエンドでの高画質化への対応とユーザビリティの向上に貢献したい」と締めくくる。
今後は、各社ともインテリジェンス機能や画像解析機能の進化をさらに追求し、監視業務の自動化・効率化に向けての研究・開発を積極的に展開していく方針だ。
また、ONVIFの動向に代表されるように監視カメラの世界もいよいよオープンアーキテクチャの時代を迎え、より世界的見地でIP化の動きが加速していくことが予想される。「パーフェクトな識別の実現」という理想に向けた各社の動向に注目したい。
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