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J・フロント設立の新会社社長に聞く、コスト削減、指示具体的に。

2010年08月27日 / 日経MJ(流通新聞) このエントリーをはてなブックマークに追加

備品発注にも競争原理

 J・フロントリテイリングは9月1日、コスト削減を指南する新会社「JFRコンサルティング」を設立する。社長に就任する土井和夫氏(Jフロント執行役員)は、旧大丸時代を含め10年以上にわたってコスト削減を主導してきた"仕事人"だ。これまでの経験でつかんだコスト削減のコツを聞いた。

 ――Jフロントは百貨店のなかでもコスト削減が進んでいる。きっかけは何だったのか。

 「旧大丸だった1998年に希望退職を実施し約700人が退社した。翌年は人件費が大幅に減ったが、一方で売り上げも計画を下回った。痛みを伴ったにもかかわらず粗利益が吹き飛びそうになった。その時にコスト削減を提案し、奥田(務会長、当時の大丸社長)に採用された」

 ――具体的には。

 「まず総務や人事など部署によってバラバラだった発注の権限を一本化した。広告費は、使ったことでどれだけ効果があったかを定量的に追うようにした。アルバイトがやっていた仕事も、だれでもできるなら社員がやるようにした」

 「社員の働き方改革も必要だ。生産性を上げるには、1日に最低2時間は自分の業務に集中するようにするなど、時間外手当を減らすようにしている」

 ――どの企業もコストを減らそうとするが、うまくいかないことも多い。何が問題なのか。

 「備品などの発注は部署ごとになじみの業者に頼んでいることが多い。この場合、競争原理が生まれにくいためコストが下がりにくい」

 「我々は発注業務を一元化するとともに、業者もコンペをして毎年変えるようにした。たとえばコピー機を使用するのにかかっていた費用を、かつての5分の1程度まで抑えられた」

 ――社内の反発も大きいのでは。

 「抵抗勢力は必ずいるし、業績が悪いのは自分の責任じゃないというのも分かる。『頑張って下げろ』と言っても限界があるので、コストがかかっている個所を洗い出し担当者に具体的な問題点を指摘する。そして改善すればどんな効果があるかを、会議の場で繰り返し訴える。理屈があれば抵抗できなくなる」

 ――コスト削減しても評価されにくい。

 「売上高が伸びないなかで増益にするには、経費削減が欠かせない。このため経費削減に携わる社員はどれだけ減らしたかを評価の対象にした。社員も増益になれば賞与に跳ね返る。こうした点を理解してもらうしかない」

 ――百貨店業界は人件費が重いため、人員削減に踏み切る企業もある。

 「心情的には人に手をつけるのは最後の手段だ。その前に、人件費と同じくらい重い店舗の維持費を下げるべきだ。社員は勤務時間に仕事を終えるため、不要な業務を機械化したり廃止したりすればよい。一方で有期雇用の採用はなるべく減らし、社員に回すようにしている。Jフロントもまだまだコストを削る余地はある」

記者の目

人員削減以外の絞る余地探す

 高コスト体質の百貨店業界にあって、Jフロントは大丸と松坂屋の経営統合から2年半で販売管理費を246億円削減した。事務所の電灯一つひとつにひもを取り付け、席にいない時は必ず消すといった細かな積み重ねが成果につながった。

 景気低迷が続くなか、流通業界では即効性のある人員削減に走るケースが多い。だが土井氏も指摘するように、現場の士気を低下させるマイナスは大きい。Jフロントの例は、人員削減に頼らずとも独自の工夫でコストを絞れることを示している。(原島大介)

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