ニュース
転機のPB(3)ローソン商品・物流本部長中井一氏(キーパーソンに聞く)
低価格品など厳選し拡大
――コンビニエンスストアではプライベートブランド(PB=自主企画)商品に対する顧客の意識に変化は出ているのか。
「リーマン・ショック以降の節約疲れからか、PBでもちょっといいものへのニーズが出てきている。昨秋から、原材料にこだわったデザートや新たな製法のパスタなど付加価値の高いPBを投入しているが、いずれも好調だ」
「コンビニのデザートは従来、100円が中心価格だった。それに対しローソンが昨年9月に発売したプレミアムロールケーキシリーズは150〜180円とやや割高だが、発売から半年余りで2400万個を売る過去に例のないヒット商品になった」
――高付加価値PBの価格はどのように決めているのか。
「主に弁当を対象に昨年スタートした『驚きの商品開発プロジェクト』では、価値が価格を3割上回るという基本方針をとっている。例えば450〜480円の弁当なら、600円前後の価値をもたせるという考え方だ」
「第1弾のスタミナ牛焼肉弁当(450円)はしゃぶしゃぶに使う高級な部位を使っているが、2週間で約150万食売れた。デザートやパスタもこの考え方を基本に価格を決めている。ただ経験則では、どんなに価値が高くても700円を超す商品をコンビニで売るのは厳しい」
――原材料起点の商品開発を掲げているが、どう取り組んでいるのか。
「流通の川上から川下まで経験している15人からなる専門部署が力を発揮している。三菱商事からも2人が参加し、グループとして戦略的な原料調達につなげている」
――スーパーの価格競争力が高い加工食品や日用品をどう開拓するのか。
「高齢者や少人数世帯のニーズに対応する小分け・使い切り商品などは、105円均一のPB『バリューライン』でカバーできている。課題は、家族全員の日常生活に目配りする主婦層がコンビニではなくスーパーで買う商品だ。この分野のナショナルブランド(NB)商品は、スーパーのスケールメリットを上回って、コンビニが価格競争力を持つのは難しい」
「この分野でコンビニの従来価格より2割程度安いPB『ローソンセレクト』を7月から段階的に投入する。スーパーで売られているNBのトップブランドと同等の品質と価格で、加盟店の利益にもなる。この3つの要素を満たすのは、これまで通りのNBばかりの品ぞろえでは難しい」
――スーパーではPBを絞り込む動きがある。ローソンは増やすのか。
「現在扱っているPBは約1000品目あり、全体としては拡大する方向だ。ただ見直しによってやめるべき商品はやめ、加えるべきは加える。NBを含めて、単に品数がたくさんある売り場ではいけない。新商品ばかりに依存すれば、結果として商品のライフサイクルを短くする。厳選した商品を投入することが大事だ」
――NBの役割は変化しているのか。
「NBとPBは補完関係だ。NBにしかできない商品の開発や柔軟な改廃がある。PBによってNBを排除するという発想はない。お客様に選択してもらうために、商品によっては併売もしていく」
――ローソンのPBをあえて定義すれば。
「お客様に驚き、楽しさを提供するのがローソン。そのローソンらしさを表現している商品だと思う」
記者の目
多様なブランド 伝え方が課題に
ローソンは店舗と商品の両面から多様なブランドづくりを進めている。店舗は青い看板の通常店のほかに「ナチュラルローソン」「ローソンストア100」「ローソンプラス」などを展開。PBでは様々なシリーズがあり、7月には「ローソンセレクト」を追加する。
「どこに行っても一緒のコンビニをやっている限りは成長しない」と話す新浪剛史社長の思いの反映だろう。看板やブランドそれぞれに込めた意味をどう消費者に伝えていくかが、これからの大きな課題だ。(天野豊文)











