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小売り、収益下げ止まり感――12~2月、5四半期ぶり増益(景気がわかる)

2010年04月15日 / 日経MJ(流通新聞) このエントリーをはてなブックマークに追加

消費、最悪期脱す 本格回復は遠く
 小売り各社の収益に下げ止まり感が出てきた。14日に出そろった2009年12月~10年2月期決算は5四半期ぶりに経常増益に転じた。各社のコスト削減が奏功した上に、雇用環境の悪化一服などを受けて消費者心理が最悪期を脱しつつある。ただ、10年2月期の年間では記録的な落ち込みだったうえに、消費は力強さを欠いており、本格回復には時間がかかりそうだ。

 日本経済新聞社が14日までに決算発表した2月期決算の小売り企業64社を集計した。12~2月期の連結売上高は前年同期比1%減の6兆1616億円、経常利益は5%増の2553億円だった。増益は金融危機が発生した08年9~11月期以来だ。
 「消費は下げ止まっている。(トヨタ自動車の業績低迷で振るわなかった)東海地方も少しずつ戻っている」。ローソンの新浪剛史社長は14日の記者会見で、こう指摘した。

 同社の12~2月期の連結経常利益は5%増。たばこ自動販売機の成人識別カード「タスポ」導入による来店客の押し上げ効果が一巡したが、小分けした野菜など生鮮品を扱うコンビニを拡大。店舗の独自色で高齢者などの需要を取り込んだ。
 
 高額品にも動き
 ファミリーマートでは通常のカップ入りチルド(冷蔵)飲料より2割前後高い自主企画商品が年間で6000万本売れるなど「消費者が付加価値が高いものに手を伸ばすようになってきた」(上田準二社長)。消費者に節約疲れの兆しが出ている。
 百貨店の業績悪化にも歯止めがかかりつつある。リーマン・ショック以降、月次の既存店売上高は2ケタ減が続いてきたが、昨年12月以降は1ケタ台に縮小している。
-FT  大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングは「婦人衣料を中心に主力の衣料品に動きが出てきた」(奥田務会長)という。高島屋の鈴木弘治社長は「日経平均株価が1万1000円を超え高額品も売れ始めている」と話す。

コスト減も効果
 各社が一斉に経費削減に取り組んだ効果も大きい。イオンは売り場の従業員の配置見直しや、光熱費、不動産賃料などの削減を徹底。不採算だった米衣料子会社も売却した。岡田元也社長は「構造的なコスト削減に取り組むことができた」と話す。衣料品や日用品など足元の売り上げの減少幅が縮小し、経費削減の効果が出やすくなった。
 
 もっとも、10年2月期の通期で見ると、セブン&アイ・ホールディングスの経常利益が統合後の最低水準に減るなど、落ち込みは大きかった。足元も大半の企業で売り上げの減少傾向はまだ続いている。11年2月期の業績予想を慎重に見る企業が多い。
 6月から支給が始まる子ども手当など国の景気対策への期待もあるものの「賃金が増えるところはまだ少なく、デフレは続く。価格競争はさらに厳しくなる」(食品スーパー大手カスミの石原俊明社長)との見方は根強い。
 製造業を中心に業績の持ち直しの動きは広がっているが、大幅な賃金改善には至っていない。夏のボーナスの伸びが消費をどこまで刺激するかも未知数だ。

専門店は好調持続 「安さ+機能」で集客

 消費不振の逆風の中で、専門店の一部は収益を伸ばしている。衣料品のしまむら、家具・インテリアチェーンのニトリ、靴のエービーシー・マートは2010年2月期連結決算で純利益がそろって過去最高を更新した。値ごろ感のあるプライベートブランド(PB=自主企画)商品で節約志向を強める消費者を取り込んだ。

 しまむらは定価580~780円で販売した保温性のある冬用肌着などがヒットした。ABCマートは本革ながら従来品よりも約4割安いカジュアルシューズ「リアル・レザー」シリーズの売れ行きが好調だった。

 価格が安いだけではなく、機能やデザインが消費者をひき付けた。消費者の好みを反映した商品を迅速に開発、大量に売り切り在庫を極力持たないといった、機動的で効率のいい経営が奏功している。
 
 ニトリは300~400品目を対象にした値下げをテコに11期連続で過去最高益を更新した。ただ、3月はかき入れ時の春の生活商戦のただ中、売上高(既存店ベース)が前年同期比5・4%減った。客数は前年の水準を上回っているものの、客単価が前年よりも7・3%減と落ち込んだ。
 
 コスト削減で値下げ余力がついた小売り各社との競争は激しくなっており、「勝ち組」も消費者の支持を集め続けられるかは予断を許さない。

【表】主な小売り各社の連結経常利益
(単位億円。カッコ内は前年同期比増減率%。▲はマイナス)

2009年12月~10年2月期  2010年2月通期  主な要因
総合小売り   セブン&アイ・ホールディングス   565(▲10)   

2,269(▲19)   コンビニ・スーパーなど苦戦
イオン   760(31)   1,301(3)   米子会社売却など推進

百貨店   J・フロントリテイリング   98(  32)199(▲29)   低価格ブランドを積極導入

高島屋   74(  43)   167(▲40)   人件費削減など徹底

コンビニ   ローソン   60(5)   494(1)   生鮮コンビニを拡大

ファミリーマート   53(▲15)   357(▲9)   タスポ効果が一巡

専門店  ニトリ  104(18) 474(40) 合計4回の大型値下げを実施

しまむら   89( 7)   381(  12)   機能性肌着などヒット

エービーシー・マート 72(66) 255(30) 低価格のPB商品を積極投入

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