ニュース
強み問い直せ(5)カスミ会長小浜裕正氏(終)(食品スーパー逆風下の活路)
「1円でも安く」使命に
食品スーパーは消費不振の逆風にどう立ち向かうべきなのか。最大手のライフコーポレーションの岩崎高治社長と、業績好調なカスミの小浜裕正会長に聞いた。
――デフレで経営環境が厳しい。
「デフレがいけないとか安売りがいけないとか経済学者が言うのは分かるが、スーパーの経営者が言ってはいけない。生活に必要な商品を安く提供する社会的使命がチェーンストアの経営者にはある。1円でも安く、1円でも利益を出す仕組みを作るのがチェーンストア。安く売ったらつぶれるというなら経営者をやめなきゃいけない」
「今は日本の消費者が生活革命をするいい機会だ。これまでは要らない物もついで買いし、我々も潤ってきた。今は必要な物を計画的に買う」
――そんな消費者にどう訴えるのか。
「昨年からのべ4000品目を値下げしたが、日曜日はコメ、水曜日は卵、金曜日はヨーグルト、他の曜日は調味料などを競合店に1円でも負けない価格で売れるよう工夫している。何でもたたき売りではなく、計画買いできる仕組みだ。1品単価は下がったが客数と買い上げ点数は上がっている。業績がそこそこいいのはお客様にそのメッセージが届いたからだ」
――安く売る仕組み作りは。
「業界の約50年の歴史の中で、お客様満足度を上げようと結果的に高コストになってきた。本当に評価されているのか見直そうと、加工食品は品ぞろえを標準店の『フードマーケット』で2割減らした。トップが『責任は自分がとる』と決断しないと進まない。3〜11月期は売上高販売管理費比率を前期比で約2ポイント抑えた。生産性も非常に大事で2〜3店でマルチジョブなど研究している」
――食品スーパーでプライベートブランド(PB=自主企画)の見直しが広がっている。
「開発競争になると粗製乱造になってしまう。米国では売り上げに占めるPB比率が25%と言われるが、日本は食品メーカーの商品開発のレベルが高く、PB拡大はある程度で止まるのではないか。日本のスーパーでは増えたとしても20%、生鮮も含めた総売上高で1割ぐらいが妥当だろう」
記者の目
自社の個性貫くぶれない意志を
ライフの岩崎社長、カスミの小浜会長に共通するのは「ついで買い」をしなくなった消費者に支持される店をいかに作るかということだ。小売りという言葉には「小さく売る」との意味が込められているという。各地の消費者が何を求めているのか、きめ細かく見極められるか。価格や品ぞろえ、鮮度、料理提案、接客などあるべき姿は1つではない。
店舗過剰と人口減の時代で生き残りへの競争は激しい。自社の個性とそれを実現する仕組み作りへ、経営者のぶれない意志が求められている。
=この項おわり
飛田臨太郎が担当しました。











