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強み問い直せ(4)店員配置、最適化に挑む(食品スーパー逆風下の活路)

2010年03月01日 / 日経MJ(流通新聞) このエントリーをはてなブックマークに追加

多能化で残業減らし

 精肉の担当者が青果の品だしをし、総菜部門の人が鮮魚に属する寿司をにぎる――。一人の従業員が複数の業務をこなす「マルチジョブ」が、東武ストアの店頭で昨秋から進んでいる。一見当たり前そうだが、売り場ごとにシフトを組み、必要な人員を配置してきた食品スーパーにとって労務管理を変える試みだ。

 「この人数では夕方6時以降が足りないので、他部門から貸してください」「この時間は十分に足りているので他部門に2人ほど回せます」。東武ストアの全店で10日に一度、店長や次長、部門長の間でこんなやりとりがかわされる。店舗全体で人員の最適配置のためだ。余分な人員は抱えず、残業なしですべての仕事をこなすのが目標だ。

 従業員は原則、レジと加工食品、精肉と青果、鮮魚と総菜の2部門間で融通しあう。組み合わせには意味がある。

 精肉と鮮魚は包丁さばきなどで独自の技能が必要。それぞれ陳列作業が多い青果、総菜と組み合わせ、従業員に過度の負担をかけない。加工食品は商品補充や店頭の整理が業務の中心でバックヤードに入ることは少なく、レジの人が足りなければ手伝いやすい。

 スーパーは天候や周辺の催事などによって客数・売り上げが大きく変化する。10日ごとに決めたシフトは店長や次長が毎朝、微調整する。調整弁となるのが1日3〜4時間、レジや品だしなどで働く学生のアルバイトだ。以前は部門ごとにシフトを組んでいたが、店長が当日どこで働くか決めるように切り替えた。

 マルチジョブの導入で1人当たり1〜2割の時間を所属部門以外に充てるようになり、「残業なしで従来の仕事量をこなせるようになった」(宮内正敬専務)。これにより、年数千万円の人件費削減を見込んでいる。

 万年人手不足が悩みだった食品スーパーを巡る環境は一変した。一時は景気低迷で「人が採用しやすくなった」(大手スーパー)と歓迎したが、予想以上の販売の落ち込みで人件費抑制が避けられなくなったからだ。

 「内食回帰で業績が伸びていたこともあり、コスト管理が甘くなっていた」――。ライフコーポレーション岩崎高治社長やマルエツ高橋恵三社長など大手の首脳は口をそろえてこう語る。

 ライフは本部の従業員の1割以上を店舗などの現場に異動。マルエツも本部の従業員が週2日、店舗で働くようにし、労働時間の40%を店舗での仕事に割いている。

 接客商売である小売業は従業員の士気が売り上げに直結するため、人員削減は容易ではない。両社の施策は現在の人員を維持し経費抑制を狙う。

 もっとも最適な人員配置は道半ばだ。東武ストアは一部で十分な品ぞろえができず機会損失があったとして総菜と水産の部門で、2月から店長の承認を得れば残業を認めるようにした。マルエツも3月から本部従業員の店舗作業を週1回にし、「ローコストオペレーション推進本部」を新設。モデル店を決め改めて低コスト運営の仕組み作りに取り組む。

 全国展開の総合スーパーに比べ、多くの食品スーパーには地域の事情にあった柔軟な雇用体系が導入しやすい利点もある。人員配置を巡る各社の模索が続く。

=月曜付に掲載

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