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電子マネー、もうけより普及第一、システム投資膨張、収益追求には時間。
エディ・スイカ…システム投資膨張、収益追求には時間
かざすだけで買い物の支払いができる電子マネー市場が拡大している。「スイカ」や「パスモ」などの交通系に加え、「ナナコ」「ワオン」など流通系も急速に伸びており、決済総額は1兆円を超えた。ネットワークの加盟企業やインフラを支える企業も多い。ビジネスとしての将来性はどうなのか。日経ヴェリタスの記者に聞いた。
利用額1兆円超す
電子マネーを運営する事業者はもうかっていないと言われますね。
2009年11月、楽天(4755)が「エディ」の運営会社ビットワレット(東京・品川)への出資を発表し、ソニー(6758)グループに代わって親会社になりました。電子マネーの収入は加盟店からの手数料(決済額の3〜5%)。ビットワレットはまず普及を優先し、店頭の決済端末を無料同然で配ったり、エディカードも無料で配るなどしたためコストが膨らみ、赤字が続いていたのです。
「スイカ」の東日本旅客鉄道(JR東日本、9020)や「ナナコ」のセブン&アイ・ホールディングス(3382)、「ワオン」のイオン(8267)なども同様に、システム開発などの投資が膨らんでいるとみられます。ただ電子マネーの本来の狙いは、それ自体で収益を生み出すのではなく、決済の利便性やお客の囲い込みによって本業にプラス効果をもたらすことです。JR東日本IT・Suica事業本部の山岡敬明・電子マネー事業部課長が、駅コンビニエンスストア「NEWDAYS」でレジに立ってみたところ、「現金のおつりの取り扱いが大変」だそうです。決済を「スイカ」に切り替えることによる業務のスピードアップと店員の負担軽減は大きいといいます。
コンビニやスーパーでの少額決済の市場規模は推計50〜60兆円。電子マネーはようやく1兆円を超えたばかりですから今後の伸び余地は大きく、初期投資の償却が終われば収益を生み出せるという期待もあります。
決済端末など需要に広がり
カード読み取り技術など、関連産業のすそ野は広そうですよ。
日本の電子マネーの標準技術になっているソニーの非接触IC技術「フェリカ」は、世界にその規格が広がり始めています。香港で1997年に始まった「八達通」という電子マネーは、人口700万人に対して発行枚数が1900万枚以上。交通機関やコンビニ、スーパーなど幅広く使えるのが特徴です。さらに中国・深〓の地下鉄で採用されているほか、インド、台湾、タイなどにも広がっています。
パナソニック(6752)はパナソニックシステムネットワークス(東京・目黒)を通じて、複数の電子マネーを読み取れる決済端末を生産。累計販売台数は30万台を超えました。読み取り機は電子マネーの規格ごとにばらばらで、レジ周りの場所を取っていました。1台で多様な電子マネーに対応する端末は設置する小売店などにもメリットがあるわけです。
店頭の端末で読み取った決済情報をメーンのサーバーに記録するなどのシステム構築を手掛けているのは野村総合研究所(4307)です。買い物ポイントを付加する機能などが当たり前になり、電子マネーの情報処理は複雑さを増す一方。金融機関向けシステム開発が得意な同社は、電子マネーを重要な成長分野とみています。
紙幣や硬貨の処理機大手グローリー(6457)は、早くから電子マネー時代の到来を読み、20年前から研究してきました。現在、ICカード読み取り機能が付いた駅のコインロッカーや社員食堂向けの決済マシンを販売しており、現金が電子マネーに取って代わられた後の収益源を育てているのです。
ポイントサービス競い集客
買い物ポイントなどで提携している企業への波及も期待できますね。
ファミリーマート(8028)で「ワオン」を使って買い物し、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(4756)の「Tポイントカード」を提示すると、「ワオン」「Tポイント」の両方にポイントがたまります。ヤフー(4689)はヤフーポイントと「ナナコ」のポイントを交換する仕組みを開発しました。ネット上の疑似貨幣であるポイントが、実際の買い物に使える通貨と同じように流通し始めたのです。
イオンは09年の定額給付金の配布時期に、1万2000円以上を「ワオン」に入金したお客に1200円相当のポイントを付与し、80万人の新規会員を獲得しました。通常は買い物200円につき1ポイント(1円相当)で、還元率は0.5%。これを一種の販売促進のための費用と位置付けています。
電子マネーとポイントを組み合わせることで、お客の囲い込みにさらなる効果が期待できます。また提携企業や店舗が多いほど自社の電子マネーの利用頻度は高まり、消費者の奪い合いにも威力を発揮します。電子マネーの拡大に伴い、「ポイント陣営」づくりの競争も一段と激しくなりそうです。(藤原隆人)











