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西武有楽町店閉鎖へ、都心の好立地生かせず、時代とズレ、女性客離れる。

2010年01月27日 / 日本経済新聞 朝刊 このエントリーをはてなブックマークに追加

 西武有楽町店のある有楽町・銀座地区は日本の商業の顔と言ってもいいくらいの存在感のある場所だ。劇場や映画館など文化施設も多く、集客には事欠かない。だが、同店はそんな都心の好立地を生かせず、最近は流行に敏感な女性客の流出が目立つようになっていた。(1面参照)

 「カジュアルファッションしか買わないので店に入ったことは一度もない」(20代の女性)、「かつては仕事に必要なおしゃれな衣料などを買い求めにいったが、最近は足が遠のいている」(40代の女性)。西武有楽町店の閉鎖について消費者からはこんな声が聞かれた。

 1980年代半ば以降の西武有楽町店は、総合生活産業を掲げたセゾングループの新しい文化情報の発信拠点と位置付けられた。主な顧客はファッション感度の高い若い女性。老舗百貨店にはない革新性を彼女たちはかぎ取った。

 百貨店が日本で成長してきたのは1億総中流を実感しようとした大衆の欲望を実現する舞台装置だったからだ。その舞台装置が最近の少子高齢社会やデフレ社会で機能しなくなったのも事実だ。

 企業イメージと事業拡大を重視したセゾングループは、バブル崩壊後に急速に経営難に陥り、中核会社だった西武百貨店は2003年には金融機関の巨額債権放棄を伴う私的整理に追い込まれた。その中でも西武有楽町店は好立地の百貨店として存在感を維持し、閉鎖を免れてきた。

 セブン&アイ・ホールディングスが、そごうと西武百貨店を買収し、百貨店事業に本格的に進出したのは2006年。逃げ水のようにとらえにくい消費者をつかまえるには、スーパーやコンビニエンスストアだけでなく、感度の高い消費者を手に入れることが必要だと判断したからだ。豊富な資金力を持つセブン&アイの力で、西武有楽町店が再び輝きを取り戻すとの期待も大きかった。

 ところが予想を超える景気低迷で主力のスーパーやコンビニが振るわず、百貨店事業に経営資源を投入できなくなり、西武有楽町店はあっという間に時代に取り残される存在になってしまった。好立地の百貨店ビジネスをわずか4年で見切ってしまう姿勢は、経済合理性を重視した経営判断とはいえ、商業と密接に絡み合う街のありようを置き去りにしたものといえないだろうか。(編集委員 田中陽)

【表】大手百貨店統合後の主な店舗閉鎖      

   社 名   店舗名

2008年10月   J・フロントリテイリング   横浜松坂屋

12月   今治大丸   

 09年〓3月   三越伊勢丹ホールディングス   三越武蔵村山店、同名取店

5月   三越池袋店、同鹿児島店   

8月   そごう・〓西武   そごう心斎橋本店(大丸に売却)

 10年〓1月   J・フロントリテイリング   松坂屋岡崎店

3月   三越伊勢丹ホールディングス   伊勢丹吉祥寺店

年内〓めど   そごう・〓西武   西武有楽町店

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