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小売り・外食、直営農場拡大、セブン&アイ、ワタミ、生産履歴明確消費者ニーズ高く。

2009年06月10日 / 日本経済新聞 朝刊 このエントリーをはてなブックマークに追加

セブン&アイ、首都圏で ワタミ、九州でも

 小売りや外食企業が直営農場を拡大している。セブン&アイ・ホールディングスは2009年度中に首都圏で最大6カ所に農業生産法人を新設。全国7カ所で農場を運営する居酒屋のワタミは10年春に九州でも農場をつくる。生産履歴が明確な自社生産の青果に対する消費者ニーズは高く、企業の農業参入の規制緩和も進みつつある。このため販路を持つ企業を中心に同様の動きがじわりと広がりそうだ。

 セブン&アイは昨年8月に千葉県内に農業生産法人を設立。同富里市の直営農場で青果の生産を始め、イトーヨーカ堂の一部店舗で昨秋から売り出したところ、好評なことから直営農場の拡大を決めた。東京都小平市のほか、神奈川県と埼玉県でそれぞれ2カ所、茨城県1カ所で農業法人を設立する方針。農家や農協など農業団体と共同出資の形にする計画で、近く関係者と本格的な調整に入る。

 富里市の農場は現在5・5ヘクタールで、千葉県内のヨーカ堂12店舗に20品目を供給している。価格は大根1本158円、ブロッコリー1個が98円など市場から仕入れる青果より2割程度安く販売する。新たに農場6カ所を新設すると、合計の耕作面積は20ヘクタール程度、年間の青果の生産量は1000トンを超す見通しで、関東の80店強に供給できる体制になる。

 現在の農地法などの規制では農業生産法人に対する企業の出資は1社で原則10%までの上限がある。衆院を通過した農地法改正案では上限を25%に緩和した。施行されれば、セブン&アイは各地の農業法人に25%まで出資し、経営の自由度を高める考えだ。

 宅配で青果販売を手がける、らでぃっしゅぼーやは4月に、千葉県内の既存の農業生産法人との共同出資で千葉県香取市に新たな農業生産法人を設立。6月下旬からジャガイモなどを収穫し、販売する。同社は有機・低農薬の野菜販売が特徴で、安定調達するには、自社農場が必要と判断した。今後、5年以内をメドに全国10カ所に農業法人を設立する考えだ。

 農業参入で先行するワタミは、02年に農業法人ワタミファーム(東京・大田)を設立した。約600店ある自社店舗への安定的な供給に向けて、ワタミファームが新たに大分県臼杵市から農地を賃借する。トマトなど有機野菜を栽培する計画だ。現在、居酒屋「和民」で自社の農場で生産した野菜を使った「有機野菜の照焼チキンシーザーサラダ」(523円)など6種類のサラダを販売している。同社が店で使う葉物野菜の1〜2割程度が、自社の農場産だ。

 ▼企業の農業参入 農地の取得が認められている農業生産法人に企業が出資する方法と、企業が市町村などからリース方式で農地を借りて営農する方法に大別される。高齢化に伴う農業の担い手不足や増大する耕作放棄地の問題を解決するため、政府も段階的な規制緩和で後押ししている。食品関連企業のほか建設業者などが事業多角化のため参入しているケースもある。

【表】企業が農業を手がける主な事例         

社名   業種   参入時期   取り組み

カゴメ  食品メーカー 1999年 全国8カ所の大型菜園でトマトを栽培

ワタミ  外食     2002年 7カ所で農場運営、野菜栽培のほか畜産も

エイチ・ツー・オーリテイリング 小売業 03年 大阪府内の農場を来春2倍の広さに拡大

モスフードサービス 外食 06年  群馬などの農場でトマトを生産

セブン&アイ  小売業  08年  首都圏で年間1000トン超に野菜生産を拡大へ

モンテローザ  外食   08年  茨城県牛久市から直接農地を借りて野菜栽培

JR東日本   鉄道   09年  茨城県石岡市の農協と共同出資で法人設立

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