ニュース
調剤薬局、「在宅」向け強化――クオール、メディカルシステム(戦略分析)
クオール 専用調合施設4倍
メディカルシステム 対応店倍増の150店
処方薬を宅配 診療報酬改定 視野に
調剤薬局各社が患者宅や介護施設に処方薬を届ける在宅医療向け事業を強化する。クオールは重症患者向けの薬を調合するクリーンルーム併設店を2014年度までに現在の4倍の40店に増やす。メディカルシステムネットワークも宅配を手がける薬局を今秋までに150店に倍増させる。4月の診療報酬改定も視野に、政府が推進する在宅医療が増えるとみて対応を急ぐ。
調剤薬局の在宅医療向け事業は、薬剤師が患者の担当医や家族からの依頼を受けて、個人宅や介護施設に定期的に薬を届ける。回数や量など薬を適切に飲んでいるかを点検・指導する。
クオールは点滴用の栄養剤などを調合するクリーンルームの併設店を増やす。投資額は3億円程度の見込み。症状が進行したがん患者は食べ物を飲み込む力が衰えるため、点滴薬で栄養を取る必要がある。自宅に点滴薬を届けられれば、重症患者の退院を後押しできる。クオールはクリーンルームから抗がん剤などを含めた高度な薬を届けられるようにする。
薬を宅配する店舗も現在の120店から14年度までに350店程度に増やす。同事業の売上高を10年度実績の5倍の50億円に拡大する。
メディカルシステムネットワークは地盤の北海道を中心に80店の薬局から宅配しているが、首都圏や関西にも広げ、9月をめどに150店に増やす。薬局からは紙おむつなど介護用品も届け、買い物が困難な高齢者の需要を取り込む。
調剤薬局最大手のアインファーマシーズは現在、薬局300店舗から300の介護施設向けに薬を届けている。11年末には千葉県にワタミが開いた2施設への宅配を開始。同社の他施設への宅配も検討する。多人数が入居し、効率的に薬を届けられる施設向けの営業を進め、12年度中に対象施設を500に増やす。
政府は医療費削減のため、患者が入院せずに自宅で療養する在宅医療を推進している。4月の診療報酬改定では在宅を手がける薬局への報酬加算を検討している。
現在の診療報酬制度では医師の指示を受け、薬を患者のもとに届けて服薬指導すると、店頭で処方するときに比べて薬局への報酬が加算される。1回の加算額は自宅患者で5000円、施設の複数の入居患者を同時に回る場合で3500円。
ただ薬剤師を店外に派遣するため、人件費が余計にかかり、採算に乗せるのは現状では厳しいとされる。各社は「在宅医療事業の収益は現在トントンだが、診療報酬の改定や需要の拡大を見込み先行投資する」(クオール)考えだ。
【図・写真】クオールの薬剤師は患者宅に点滴薬などを届ける(横浜市)












