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今どき主婦のShopウォッチ【堤 香苗】

第75回 凝りすぎない店の造りと、ブログとの連動が、最大の商品(=イイ男)の魅力を際立たせる! 「ギャルソンカフェ」

2010年03月04日 このエントリーをはてなブックマークに追加

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わがキャリア・マムの「主婦と消費行動研究所」サイト

http://www.c-mam.co.jp/shufu-labo/)では、「主婦が行ってみたい、けど、なかなか自分では行けない」という場所にスタッフが出かけて行ってレポートするという企画がある。高尾山で瀧に打たれたり、コミックマーケットに潜入したり、バンジージャンプをするなど、好奇心旺盛な主婦たちが果敢にチャレンジする姿がけっこう人気なのだが、先日、その企画で取り上げられたのが「ギャルソンカフェ」だ。

「鉄カフェ・レトロ」 「鉄カフェ・レトロ」

 「ギャルソンカフェ」と言われてぴんとくる人は少ないかもしれないが、つまり「かっこいい男の子たちがスタッフをやっているカフェ」のことだ。男性なら「メイドカフェ」をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。ただし、過剰なコスプレやロールプレイングなどはない。ちょっと拍子抜けするくらいに普通のカフェだ。しかし、そこで働いている男の子たちのかっこいいことと言ったら......。女の子(もちろん私もだ)ならだれでも、目がハートになってしまうことは間違いない。複数のギャルソンがいて、それぞれに個性が違うので、「私は●●クン!」というように好みのタイプの男の子にきっとめぐり逢うことができるだろう、そんな夢のような店なのだ。
 ギャルソンカフェに取材に行ったうちのスタッフたちは、その後数日この話題でもちきりだった。同行しなかった私はちょっと悔しい思いをしたものだ。すでに結婚もしていれば子どももいるれっきとした主婦が、手放しに「よかったですよ! 夢の国ですよ! はまりそうです!」と屈託なく言うのだから、聞いた私がギャルソンカフェに並々ならぬ関心がわくのも無理はなかろう。
 そしてついに、私が自分でその夢の国に乗り込んでみることになったのだ。

ちょっとわかりにくい入口の「秘密めいた雰囲気」がドキドキ感を盛り上げる

 明治神宮前駅から徒歩2分。人気のファストファッションショップ「Forever21」と「H&M」が並ぶメインストリートにあるビル。夢の国への入り口は、このビルの1階、少し奥まったところにあるエレベーターなのだが、これがわかりにくい! うちのスタッフが初めて行ったときは、この入口がわからなくて徘徊したそうだ。それもそのはず、建物はなんの変哲もないビルだし、エレベーターも無機的。ただし、このわかりにくい入口、エレベーターで8階まで上がるというのが、なんだか「秘密めいて」いてワクワクする。ちょっとナイショのサービスをしてくれていそう、なんて妄想を抱かせてくれる。

「鉄カフェ・レトロ」 「鉄カフェ・レトロ」

「ボンジュール!」の声で夢の国へと誘導!

 8階でエレベーターを降りると、そこでは夢の国の住人たちがお出迎えしてくれる。声かけは「いらっしゃいませー!」ではない。彼らは「ボンジュール!」と輝く笑顔で挨拶してくれるのだ。この独特な挨拶が見事に、夢の世界への扉を開ける役目を果たしている。
 かけ離れたたとえではあるが、デパ地下の生鮮品売り場や市場などでは、威勢のいいお店のおじさんの「らっしゃい、らっしゃい、安いよ、安いよ!」という声に気分が高揚して必要ないものでも買いたくなってしまうではないか、それと似ている。かっこいい男の子だからってぼうっとなる、なんて年齢じゃないわよ! と強がっていても、このギャルソンスタイルの男の子たちの「ボンジュール!」の声で、簡単に「あっちの演出にのってもいいかな~」という気分になってしまうのだ。
 エントランスの内装などは、とりたてておしゃれとか豪華というわけではない。ぎらぎらした感じや淫靡な感じもべつにない。ごく普通のカフェだ。しかし、並んでいる男の子たちが何より最高級のインテリアになっている。

「鉄カフェ・レトロ」 「鉄カフェ・レトロ」

見て楽しむ、かしづかれて楽しむ、おしゃべりを楽しむ......エリアごとに違う楽しみ

 店内は決して広くないが、大きく分けて、3つのエリアがある。1つは、一般的なフロア席だ。友だち同士4人で囲めるテーブル席が並んでいる。テーブル同士の間隔も広すぎず、狭すぎず。間の通路を、すらりとしたギャルソンたちが行き来する様は、まさに目の保養だ。このエリアは、今どきの飲食店にしては、やけに開放的で隣のテーブルの様子もよく見えてしまう。しかし、それがまたギャルソンカフェならではの楽しみも与えてくれるのだ。
 この店は、カフェメニューも案外充実してはいる。だがやはり、なんと言っても目玉は「かっこいいギャルソン」だ。そのギャルソンたちが、自分のテーブル以外の席に来ているときも鑑賞できる。それは最高のサービスだと思うのだ。最近は、カフェでも居酒屋でも「個室」がブームで、お客同士が顔をあわせないようになっている造りが人気だが、おそらくこの店は「あえて」それをしていない。ごくさりげなく、どのテーブルにいるギャルソンも鑑賞できる、そんな造りになっているのだ。
 もちろん中には、ほかの人たちからちらちら見られずに、ギャルソンとの会話を楽しみたい人もいるだろう。そういう人たち向けのエリアもある。ソファ席とかカウンター席だ。ソファ席は、テーブル席よりも座る位置も低いし、テーブルも低い。となると、オーダーを聞くにも、ドリンクやフーズを持ってくるときも、ギャルソンは、ひざまずいたり、身をかがめてくれたりする。これにも、かなり妄想をかきたてられる。ウエイター業務を果たしているだけで、ギャルソンたちは、「かしづいてもらっている」気分を客に与えることができるのだ。
 さらに、案外いいな~とうらやましくなったのがカウンター席だ。これもごくごく普通のカウンターなのだが、この店ではカウンターに1人で座っている女の子を放りっぱなしにはしない。カウンターの中に入っているギャルソンが、しきりに話しかけてくれていた。1人でこんなにわかりにくい場所にあるこの店に来ているということは、その時点で間違いなくファン客かその予備軍だ。だったら、ギャルソンから話しかけられて迷惑なはずはない。見ていると、カウンターの中のギャルソンと、カウンターの外の客が会話をするときは、かなり顔を寄せる感じになる(BGMがあるから会話が聞こえなくなってしまうから)。この店に来たのは初めて、それも1人で、という少々の心細さ、居心地の悪さのあるお客さんでも、カウンターの中からすてきなギャルソンが自分だけに笑顔を向けて近い距離で話をしてくれたら、まさに夢見心地になるだろう。
 この日、私は、スタッフ数名と行ったので、ソファ席に座ったのだが、そこから見えるカウンター席がうらやましくてならなかった。だって、カウンターの中のギャルソンがものすごくかっこよかったんだもの。彼がカウンター席に座っている女性客にどんどん話しかけているのを見て、「あ~、カウンターに座ればよかった」と思ってしまったのだ。

「鉄カフェ・レトロ」 「鉄カフェ・レトロ」

ギャルソンブログでリピーターを確保! 初来店の促進にも有効。

 正直、この店の内装や造りにはそれほど目立った特色はない。だが、へんに内装に凝っていないところが「安心感」にもつながっている。「かっこいい男の子たちのいる店」というコンセプトは、ともすれば「ホストクラブか?」とも思われそうだが、そうではない。昼も営業している健全なカフェ(お酒は出すが)なのだ、ということを、凝りすぎない内装が主張している。一方で、入口での挨拶も席の設え方も、この店の最大の商品である「すてきなギャルソン」たちの魅力を最大限に活用している。そこがうまい。
 また、この店のホームページ(http://garcon-cafe.jp/)にはギャルソンたちのブログがある。ここで、彼らは自分たちのパーソナリティーをいかんなく発揮している。このブログをチェックしておけば、たとえ初めて店に行くときでも、「高校時代バスケをやっていた●●くん」「昔はバンドでプロを目指していた■■くん」と、前もってお目当てのギャルソンを作ることができるし、初めてでも前から知っているような親しみをもつことができる。一度、店で顔を覚えたギャルソンなら興味をもってブログもチェックしてしまうし、ブログで近況を知っていれば、「また会いに行きたい」という気持ちにもなるだろう。彼らのブログは、ギャルソンカフェでの夢の時間と日常生活をつなぐ強力なツールになっているのだ。
 うーーーーん、なんてうまい商売なんだ。感心するばかり。
また行こうっと! えっ、もちろん、勉強のため。ほんとです。

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堤 香苗 プロフィール

今どき主婦のShopウォッチ

株式会社キャリア・マム代表取締役。1964年、兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学第一文学部・演劇専攻卒業。
大学時代よりテレビ、ラジオのパーソナリティー等をつとめ、フリーアナウンサーとして活躍。結婚、出産後、子育ての経験を生かした仕事を志し、1995年4月、育児サークルPAO(キャリア・マムの前身)を設立。その後、ママの社会参加の機会を積極的に創出する活動母体として、「ママの元気と笑顔」を合言葉に、『キャリア・マム』を設立。現在、コーディネーターとして、主婦や育児中の女性、起業を目指す人へのアドバイスや、「女性の起業」「在宅ワーク」「ITビジネス」等のテーマで講演も行う。2007年1月「おしゃべり力〜主婦のホンネが常識を変える!〜」、5月「ヒット商品はこうしてできる!売れるマーケティングのしかけ」を出版。

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