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顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント【齋藤 孝太】

第10回「店舗の評価基準、分析手法」

2009年10月19日 このエントリーをはてなブックマークに追加

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今回のテーマ「店舗の評価基準、分析手法」

 今回は、市場縮小時代を突破する顧客育成/CRMを推進する店舗マネジメントの「分析と対策の未来」の中から、「店舗の評価基準、分析手法」についてご紹介します。店舗をマネジメントするにあたって、アクション結果を評価する、分析はなくてはならないものです。その分析は、顧客育成/CRMの思想をベースにした基準で、分析することがポイントになります。

目標設定の2つの方向性

 分析とは、シンプルに考えると、数値を伴った目標と成果を比べることです。
 では、顧客育成/CRMを推進する企業・店舗ではどんな目標を立てるべきなのでしょうか。目標の種類には、2つの方向があります。マーケティングの「実施成果の目標設定」、マーケティングの「アクション過程の目標設定」の2つです。

目標設定(1)-実施成果の目標設定

 実施成果の目標設定とは、マーケティングを「実施した結果」を検証する目標です。
具体的には、顧客育成軸、売上分解軸の目標設定です。それを各店舗で設定します。

(顧客育成軸の目標設定)
顧客育成軸は、顧客育成ピラミッドをベースに、以下の数値目標が考えられます。
・新規来店客数(率)
・新規顧客育成数(率)
・再購入客育成数(率)
・優良顧客育成数(率)
・スペシャル顧客育成数(率)

(売上分解軸の目標設定)
一方、売上分解軸は、売上=客数×客単価×購入頻度をベースに、以下の数値目標が考えられます。
・客数
・客単価
・購入頻度

 2つの視点の違いは、主に時間軸の違いです。中長期的視点で活用されることが多いのは、顧客育成軸で、短期的視点で活用されることが多いのが売上分解軸です。これは企業・店舗・商品によって異なります。
 また、業種においても、小売店・専門店においては、顧客育成軸をベースに考えていきますが、ショッピングセンター等、様々な業種の店舗が集まっていて、各店舗をマネジメントする場合は、売上分解軸をベースに行います。顧客育成軸を採用すると、各店舗のバラツキが大きすぎて、マネジメント仕切れない状況に陥るからです。

目標設定(2)-アクション過程の目標設定

 アクション過程の目標設定とは、マーケティングの「実施中の過程」を検証する目標です。途中段階で目標達成が難しいと分かった場合に、リカバリーのマーケティングを実施することができます。

(イベント系マーケティングの目標設定)
・DM/メール告知数
・イベント申込数(率)
・イベント参加数(率)
・購入数(率)
・アフターフォロー数(率)等

(接客系マーケティングの目標設定)
・声かけ数(率)
・コミュニケーション数(率)
・商品お勧め数(率)
・購入数(率)
・アフターフォロー数(率)等

 ある企業では、声かけ数が少なければ、来店を促す仕掛けが十分だったか確認し、購入数が伸び悩めば、アプローチトークや試着回数、成約率を確認しています。アクションの過程を細かく管理・分析し、売れない原因を突き止めています。

売上のみの目標設定の欠点を考えてみる

 目標を売上のみに限定すると、分析結果、その対策も売上のみが基準になります。現場のスタッフは、「売上、売上」と言われると、プレッシャーで足が動かなくなる、頭が動かなくなることがあります。
 それは、なぜかと言うと、「売上を上げる」ことへの対策は、多岐に渡ります。新規顧客を獲得しても売上になるし、優良顧客の来店頻度アップを図っても、売上になります。選択枠がありすぎて、どれを実践したら良いのか、現場で考えなければいけなくなります。考えることが多すぎると、行動まで行き着かないのです。
 例えば、「今回のイベントは優良顧客維持を目的に実施してください。数値目標は、売上3,000万円、優良顧客来店率30%、購入率35%、客単価10,000円です」ということを現場に伝えたとします(売上のみではない目標設定です)。
 その場合、結果として売上目標を達成できなくても、優良顧客が300人いる店舗で、その期間中に100人来店したら、33%で優良顧客来店率は目標達成となります。集客アクションは成功したことになります。
 つまり、売上のみの目標設定は、アクションと成果の検証が大雑把になります。実施したアクションの内、どれが良かったのか、悪かったのか分からないのです。

最後に

 顧客育成/CRM推進にあたって、分析/検証指標をご紹介していきますが、すべて漏れなく実施する必要はありません。本部のマンパワーを超える分析はおすすめできないからです。
 企業が大きくなると本部でよく行われるのが、分析のための分析です。分析は、すでに終わったアクション(=過去)の確認に過ぎません。分析は、次のアクション(=未来)を考えるために、実施することです。
 しかし、多くの企業では、本部スタッフは、分析業務だけで、力を使い果たしてしまうのです。新しい次のアクションを起こすには、分析の3倍以上の時間と労力が必要です。 それを前提に、分析の業務量を考えることが大切です。分析は最小限が基本です。そうしないと、個店別の対策アクションの指示・成功事例の共有化等、物理的に無理であり、「やりたいんだけどね・・・」と言いながら、数年の月日が流れてしまいます。
 多くの企業において、7~8割の分析結果は、活用されず無視されます。そんな業務に優秀な本部スタッフが時間を割くことは非効率この上ないことです。

 次回は、今回と同じく、「分析と対策の未来」の中から、「対策アクション」についてご紹介します。
 次回も楽しみに。最後まで読んでいただき、有り難うございました。


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齋藤 孝太 プロフィール

顧客育成/CRM視点の店舗マネジメント

株式会社 SIS(ストラテジックインテリジェントシステム) 代表取締役 カスタマーリレーショナルマーケター
企画・マーケティング会社にて、大手化粧品メーカー(資生堂)・大手石油会社(現新日本石油)等のマーケティング計画策定・現場マニュアル作成をサポート。その後、株式会社企画塾にて、中小零細企業の販売現場の売上アップを図るマーケティングに携わる。現在は、店舗ビジネス(小売業・サービス業・SC等)において顧客との関係を深め、継続的な売上拡大を目指す企業を対象に、「顧客育成/CRMの教育・研修・セミナー」を通じた人材育成を行っている。
著書に、「なぜ、CRMは店舗の売上アップに繋がらないのか?」(日刊工業新聞社)「衝動買いさせる21の法則」(クロスメディア・パブリッシング)、「増販増客実例集2005」(企画塾出版)がある。

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