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2012トップに聞く(9)ビットワレット社長山田善久氏、電子書籍などの決済期待。
「インフラ」へ利用拠点拡大
多くの利用者や加盟店を取り込みながら拡大を続ける電子マネー市場。2011年は東日本大震災直後に伸び率が鈍化したが、その後は回復。足元の決済件数は前年同時期を2割程度上回る。楽天子会社で「エディ」を運営するビットワレット(東京・品川)の山田善久社長に12年の電子マネーの動向と市場の見通しについて聞いた。
――11年を振り返ってエディはどうだったか
「震災の影響で前半はやや苦戦したが、後半に持ち直した。決済件数も前年を上回って推移している。昨年11月末時点で発行枚数は6780万枚で、利用拠点数は28万7000カ所となった。ただ残念ながら電子マネー事業としての黒字化には至っていない。早期に実現したいと考えている」
――インターネットサービスの決済の取り込みに力を入れている
「『おサイフケータイ』機能を搭載した携帯電話の電子マネー利用は、スマートフォン(高機能携帯電話)の普及に伴って急速に拡大している。昨年、エディの残高が一定額を下回ったときにクレジットカードから自動で入金されるサービスを始めた。モバイル向けは技術的にも改善しやすいので、新しい施策が打ち出せるのが特徴だ」
「これからはゲーム利用や電子書籍といったコンテンツの購入などに電子マネーが使われる機会が増えるとみており、ここを取り込んでいく。ネット決済と電子マネーは親和性が高く、エディのカードを持っていないゲームの利用者も携帯電話で支払いができるので使い勝手がいい。オンラインゲームや電子書籍市場の市場拡大が見込まれるなか、新たな顧客層の獲得にもつながると期待している」
――地方の加盟店開拓については
「昨年11月に岡山県を地盤とする天満屋ストア(岡山市)と会員カード発行やポイント連携を始めた。地方の地場スーパーは大手小売りとの競争に直面しており、エディの加盟店網を活用した集客は魅力的に映ると考えている。昨年は札幌、福岡、大阪、名古屋に地方支社を開設した。パートナーの開拓を強化していく」
――今後の電子マネー市場についてどうみる
「少額決済市場を数十兆円規模とみた場合、そのうち電子マネーが取れる余地は大きい。まだまだ伸びる可能性は十分にあると思う。決済機能としての『インフラ』を目指すには、どの場所でも使えるようにならないといけない。そのためには利用拠点数も数百万規模まで増やす必要がある」
「カードやモバイルなど電子マネーの発行は増えてきたが、全体からみれば日常的に利用している人はまだ少ない。加盟店開拓はもちろん大事だが、利用件数を増やすための工夫も求められるだろう」
――事業者同士の連携についてはどうか
「すでに複数の電子マネーに対応したマルチ端末が広がっている。この流れは加速しそうだ。クレジットカードのように店舗で多くの電子マネーが使えるようになれば利用者の利便性は高まる。今後はさらなる市場拡大に向けて、システムを標準化するなど連携の動きが出てくることも考えられる」
記者の目
地方スーパーの
取り込みカギに
電子マネーの流通系2強であるセブン&アイ・ホールディングスとイオンは、自社店舗を活用したボーナスポイントなどを武器に利用を増やしている。これに対し、自前の店舗を持たないエディは加盟店のネットワークが「生命線」。全国規模での開拓がカギとなる。
首都圏で強いエディが熱い視線を向けるのは地方。2強の攻勢にさらされている地場スーパーを加盟店網に取り込む戦略だ。ただ、加盟店の獲得競争は激しさを増している。他社より早く陣営に取り込めるかどうかが、シェア争いの行方を左右することになりそうだ。
(古山和弘)
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