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大光電機――自前で照明デザイナー100人(追跡イノベーション)
器具・空間、好み通りに
LED(発光ダイオード)という新しいランプの台頭で存在感が高まっている照明器具メーカー。業界で独自のビジネスモデルを構築したのが大光電機(大阪市、前芝辰二社長)だ。年商は約200億円と規模では大手に劣るが、照明の選定や配置を提案するデザイナーを自社で100人抱える戦略を展開。器具と空間、ハードとソフトの両方を提案して顧客の囲い込みに励む姿を追う。
大光電機の東京TACTデザイン2課・企画室で課長を務める森川一氏が差し出す名刺の表には、肝心の「大光電機」という会社名がどこにも見あたらない。右上に大きく目立つのが「TACT」というアルファベット4文字。この名刺こそ同社の異色のビジネスモデルを象徴している。
「ここにダウンライトをつけてなごやかに見せましょう」「ここでスポットライトで照らせば展示物が映えますよ」。どこにどんな照明を配置するか。「トータル・アドバンス・クリエーティブ・チーム」の英語の頭文字を取ったTACTのデザイナーらが顧客である施主の要望を聞き出し、具現化していくのだ。
新しい建物を建てたりリフォームしたりする場合、設計事務所や建築士などが施主の要望に合わせて設計していく。ただ照明は専門家である照明デザイナーに外注するケースも増えている。大光電機はメーカーとして製品開発、営業の部隊も抱えているが、その同列の組織として100人を超える照明デザイナーも自前で抱えているのが競合他社にはない特徴だ。
「顧客に納得してもらう照明空間を作り上げるためなら、他社の器具を使うこともある」。東京でリーダーを務める森川氏はこう話す。もちろん大光電機の照明器具を使うのがベストだが、メーカーに所属しながらも独立系デザイナーのように極力「色を出さない」。名刺で会社名を前面に出さないのもそのためだ。
メーカーである以上、顧客とじかに接するのは営業部隊だ。だが営業の目線ではどうしても空間のデザインではなく、器具の売り上げ拡大を優先しがちになる。同社の場合、デザインの話はTACTと、値段交渉は営業といった具合に使い分ける。「適切な人材を投入し、顧客の要望にきめ細やかに対応できる」と東京商環境開発営業部の冨田和彦統括部長は強調する。
顧客は原則、メーカーに器具の代金を支払えば、空間のデザインはTACTに無料でやってもらえる。いわばサービスだ。専門の照明デザイナーに別途、注文する必要がなくメーーカーとやり取りするだけで済む。その分、大手よりも器具代が割高になるが、「ハードだけでなくソフトも提供することで差異化を図り、価格競争を避ける」(冨田部長)戦略だ。
大光電機はこうした「空間デザインの内製化」により存在感を発揮し、市場を開拓してきた。戸建て住宅と商業店舗の二本柱に絞って事業を展開しており、両市場でそれぞれ100億円ずつを売り上げ、2割のシェアを確保。業績は「市場全体より落ち込み幅は小さく、2010年3月期に10年連続の黒字は確保できる」と前芝社長は自信を示す。
ただ自前で100人ものデザイナーを抱えるのはもろ刃の剣でもある。景気拡大期なら収益で吸収できるが、後退期では逆に固定費として負担感が増す。目先の損益改善には、必要に応じて外部のデザイナーを活用する方が好ましい。
「これからはTACTが積極的に新規顧客を開拓していかなければいけない」。森川課長は営業機能を充実させる必要があるとの認識だ。LED照明の普及により器具メーカーが乱立するなか、「あのデザイナーに頼みたい」と指名買いが入る人材が多く育てば、同社の戦略は有利に働く。これからが正念場だ。
(鳳山太成)













