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愛知にLED照明住宅地、家とひと包むやさしい光、輝き和らげ適度な影演出。
愛知県の名古屋市と豊田市の間に広がる小高い丘にLED(発光ダイオード)照明の街が生まれようとしている。開発総戸数は204戸。家々の門柱から街路、公園にいたるまで屋外の明かりはすべてLEDだ。従来は難しいとされた家の中の照明にも積極的に使う。冷ややかで差し込むような光が特徴だったLEDだが、この街では住む人を柔らかく立体的に照らし出す。
街の名前は「GreenAvenueあざぶの丘」。トヨタ自動車の住宅子会社であるトヨタすまいるライフ(豊田市)が三好町で開発を進めている。完成時の総面積は7.7ヘクタールで、昨年10月末に第1期分譲が始まった。
未来型の省エネ光源として同社が着目したのがLEDだ。一般的に消費電力は白熱電球の約10分の1。電球の寿命も長いため電球交換などの手間も省ける。「屋外照明のすべてにLEDを採用することにした」(用地・流通部開発室の木内賢太郎さん)
CO2排出量76%抑制
同社の試算によると二酸化炭素(CO2)排出量は、従来の光源を使った場合が年間約42トンであるのに対し、LEDは約10トンと76%も少なくてすむ。さらに公園にはソーラーパネルや風力発電機を設置し、照明電力の6分の1を自給することを目指す。
ただLEDは光が散らず指向性が強い。信号機などのように一方向からの視認性には優れるが、ぎらつき感があり照明には適さないとされていた。あざぶの丘が目指したのは、欧州の都市を思わせる落ち着いた陰影ある街並みだ。
照明のデザインチームを率いるM&Oデザイン事務所の落合勉氏=写真=は「夜景の中に膨らみある家並みが浮かび上がるよう心がけた」と話す。そのため隅まで照らす強烈な光をあふれさせるのではなく、立体的な光で適度な影を生みだし人の顔や建築物の表情を認識できるようにした。
「明るい場所に目が向くと暗い場所は極端に見え方が鈍くなってしまう」と落合さんは指摘する。明るくし過ぎる設計は逆に暗闇を作り不安を誘うというわけだ。
もう一つ、あざぶの丘の特徴は「建物や植栽も照明器具の一部として活用している」(照明デザインチームのメンバーでリップルデザイン代表の岡本賢氏)ことだ。通常は照明器具自体が明かりを放つが、ここでは「壁や樹木、舗装した道路を間接的に輝かせることで街の明かりを生み出し、夜の景色が浮かび上がるようにした」(同)。
その象徴が「あざぶライト」。住宅の玄関周りにある門柱一体型の照明だ。街路灯に頼らず一軒一軒の門灯を持ち寄ることで街を照らす。住宅の外壁を照らしたり門柱に反射させたりと、全体のバランスを考えながら計画的に照明を配置。各戸の個性を出しつつも明かりを町ぐるみで共有する仕組みだ。このため一定の時間まで夜間点灯する住民協定を定めている。
こうした街全体を舞台にしたLED照明の利用は世界でも珍しい。照明器具はすべて特注品で、ノウハウやデータもほとんどないなかでの挑戦だった。色調や光量の調整、全体のバランスなどはすべて現場あわせ。デザインチームのメンバーは「寒い冬場に暗くなるのを待って何度も実験を繰り返した」と振り返る。
室内の明かりにも採用
家のなかにも積極的にLEDを取り入れている。熱を持ちにくい特性を生かしてカーテンボックスの中に入れたり、小型で軽い特長を生かして床と壁を仕切る幅木にフットライトとして埋め込んだり。不得意とされた住宅内にも活躍の場を広げつつある。
「日本はLEDの技術・製品開発ではトップランナーだが、どうやって使っていくかが出遅れている」と落合氏は指摘する。LEDの製造主体が半導体メーカーだったこともあり、ハウスメーカーと照明業界が共同で取り組むような土壌がなかったことも理由の一つだ。
世界でも先駆的な取り組みとされるあざぶの丘。照明器具の製造会社から造園事業者まで様々なプロが集まり試行錯誤を繰り返している。街の完成は数年先。街づくりが進むにつれノウハウはさらに蓄積するだろう。この街の取り組みが新しい明かりの世界標準をはぐくむ揺りかごになっていくかもしれない。(高橋祐司)














