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リフレクター向け金型、日進精機――熟練研磨、正確に光反射(技あり中小強さの秘密)
LEDの分野にも触手
日進精機(東京・大田、田木桂三社長)は、光を反射するリフレクター向けの金型で国内随一の実力を誇る。産業用機械などに使うセンサー向けではシェアトップ。市場からの高い評価を支えるのは、熟練技能者による研磨と組み付けで実現した正確な光の反射だ。中国などの海外メーカーが攻勢に出る中、積極的な海外進出などで技術とコストを両立し、先頭をひた走る。
車などで使用
「どの面も鏡のようでしょう」。まるでマッチ棒のような六角のステンレス棒。先端は3面にカットしてあり、いずれの面もぴかぴかに磨き上げられている。このステンレス棒を数百から数千本束ねれば金型のできあがりだ。
同社の金型で作るリフレクターは身の回りにあふれている。例えば、自転車。交通事故を避けるために光があたるときらきら反射するプラスチック板が付いている。自動車のリアランプや三角停止板などもリフレクターの一種だ。
ここ10年で低コスト製品の主力は中国勢に取って代わられたが、プレス機械などに使うセンサー用の金型では同社が国内シェア8〜9割を占める。センサーとリフレクターの間に手を入れると、光が遮断されることで機械が停止。人身事故を未然に防げる。
もっとも、入ってきた光を正確に反射するには高い技術が求められる。そもそもの原理は直行する光線を3つの鏡面にあてて3回反射させ、入ってきた方向に返すというもの。先端を磨いたステンレス棒は3本合わせることで3面鏡の役割を果たし、光を返す。
そのため先端の鏡面加工は熟練技能者が担っている。棒に塗布するダイヤモンドパウダーの量はもちろん、砥石の回転速度を調整。砥石の面の粗さも計算に入れた上で、どの程度削るかを考える必要がある。研磨中は摩擦で棒が反ってしまうが、「同じ角度を保持して削り続けなければいけない」(田木社長)。
最終的には六角形の角度はすべて同じにし、誤差は2マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル以内に抑えている。
ステンレス棒を束ねて組み付ける工程でも細心の注意が必要だ。「図面とのずれは1000本組み合わせて1マイクロメートル程度しか許されない」(田木社長)。こうした工程を任せられる職人は同社でも限られる。
磨き方や組み付けの精度が甘かった場合は、反射する光がぼんやりと拡散し、リフレクターの用をなさない。同社製品の場合は、入ってきた光を、照度を保ったまま、数メートル先まで正確に飛ばすことができるため、精度が要求される産業用向けも開拓できたのだ。
創業は1957年。元は洗濯機のモーターやテレビの部品向けの金型を手掛けていた。リフレクター用金型に進出したのは、商社からの依頼がきっかけだ。米国製のリフレクターを再現する依頼に対し、他社は軒並み失敗。同社は手作業で先端を磨き上げた棒を組み合わせて金型を完成させた。
中国などに拠点
高いシェアは握ったものの、新興国や競合他社も徐々に追いついてきている。そこで積極的に進めるのが海外進出だ。中国やフィリピンなどに複数の拠点を設置。ステンレス棒の前加工などを任せることで、コスト削減に取り組み、世界市場で戦える体制を築いた。
今後狙うのはLED(発光ダイオード)やレンズなどの超精密分野。そのためには「海外工場の一層のレベルアップが必要」(田木社長)とみる。そこで現地人の幹部採用に踏み切る。今後2年をメドに人事評価や労務管理などを手掛ける大卒の現地人を採用する。現場との意思疎通を密にして、不満解消に役立てるほか、会社への帰属意識を高めて組織力を向上させる狙いだ。
同社が先陣をきって切り開いてきたリフレクターの金型市場は、新興国メーカーなど後続が追撃を始めた。自動車向けなどでは、中国メーカーなどが躍進する。だが「奪われた市場を懐かしむのではなく、新たなチャンスを開拓する」(田木社長)と、日進精機は新天地に挑もうとしている。
(中谷庄吾)
《会社概要》
▽ 設立 1957年
▽ 本社 東京都大田区多摩川2の29の21
▽ 売上高 約18億円(2010年9月期見込み・国内のみ)
▽ 事業内容 プレス部品加工・金型製造













