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中国市場で勝てない日本(地球回覧)

2010年02月11日 / 日本経済新聞 朝刊 このエントリーをはてなブックマークに追加

 中国でも急成長中の発光ダイオード(LED)照明。その市場を独占しようと、世界の主要な国・地域が激しい駆け引きを繰り広げている。メーカー同士のシェア争いではない。各国・地域の当局も巻き込んだ規格づくりの主導権争いだ。

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 中国はどこの規格を採用するのか――。この1、2年、LED企業が続々と生まれ、様々な規格が乱立した。基準がなく、省エネ促進のための補助金支給さえできない状況。中国政府は先進国に視察団を派遣し、標準化委員会で規格づくりの検討に着手した。

 欧米、アジアなどが攻勢をかけ、いまのところ欧州や台湾が優勢のもようだ。特に台湾は中台連携強化の流れに乗っている。規格が同じなら中国仕様への作り替えが不要で圧倒的に有利。日本は出遅れているという。

 日本企業の中国市場への進出表明が相次いでいるが、中国での日本勢の存在感は低下傾向で、韓国や欧米勢の方が上向きだ。韓国勢では2009年の中国の乗用車販売で現代がメーカー別2位に躍進。サムスンやLGなどの広告も目立つ。日本で民主党政権の誕生後、中国では隣国日本との経済交流を深めようとする機運が高まっているのに生かし切れていない。

 なぜか。日本の主要メーカーの中国代表は「08年の金融危機まで本社は欧米市場を最優先にしていた。ようやく中国市場を本気で考え始めたが、韓国などより10年遅れた」と反省する。中国人の好みにあわせた商品開発をせず、中国で作った輸出用などを回していたのでは勝負にならない。

 それだけではない。政府と民間一体の戦略づくりに欠けていたようだ。昨年11、12月の米仏首脳訪中。それぞれの政府は民間の大型商談を後押しした。米ゼネラル・エレクトリック(GE)はオバマ大統領訪問にあわせて中国航空機大手や中国鉄道省との大型提携を相次ぎ発表。フィヨン仏首相の訪中時には仏電力公社が中国の原発大手との合弁会社設立で調印式を行った。シンガポールは政府主導で天津市などの大型地域開発を丸ごと請け負っている。

 中国市場での製品規格の標準化も同じ。電圧、第2世代携帯電話は欧州方式、鉄道レールは欧米方式。超高圧送電(UHV)は日本方式だが、官民協調で挑む欧州勢におおむね負けている。

 日本では1990年代に官民癒着が批判され、官が民を支える官民連携がしにくくなった。その傾向は民主党政権の発足後強まっているようだ。この間、他国は官民一体で中国市場に攻め込んだ。中国では政府が常に窓口。中国で勝ち抜くには相応の流儀が必要だ。

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 08年に新規供与を終了した対中円借款。財務省、経済産業省、外務省などが民間と中国事業を話し合ってきた。この枠組みが終わり、民との対話も減ったうえに、各省庁がバラバラに動く事例が目立ってきたという。

 オールジャパンの支援体制の整備が不可欠だ。例えば中国の内陸や東北地方の大型地域開発では、総務省や国土交通省などを巻き込み、上下水道処理技術なども生かした産業・生活インフラそのものを日本が担えないか。LED規格も政府全体で後押しできないか。

 ベトナムなどの原発受注競争で日本勢は他国に相次ぎ後れを取ったが、日本の生命線である中国市場でも存在感が本当に薄れてしまいかねない。

(中国総局長 品田卓)

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