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野菜工場、長野県内で芽吹く――研究会や関連産業参入相次ぐ(信州リポート)

2010年01月20日 / 日本経済新聞 地方経済面 このエントリーをはてなブックマークに追加

初期投資など課題も

 栽培環境を自動管理して野菜や果物を育てる「野菜工場」が長野県内で注目されている。各地で研究会が発足し、発光ダイオード(LED)照明など関連産業に参入する企業も相次ぐ。内需型ビジネスを開拓して国内での生き残りをかける製造業と、冬季の栽培が難しい長野県で安定した収穫を目指す農業。農商工連携の取り組みを政府も後押しする。

 須坂市の地元企業や須高農業協同組合などが参加する「須坂市グリーン農業研究会」が19日発足した。太陽光や地熱を利用し、二酸化炭素(CO2)排出量を削減できるLED照明などを組み合わせる。従来型の施設農業と違う「石油ゼロ」の栽培を目指す。

 研究会にはヒートポンプ技術を持つオリオン機械や太陽熱給湯・太陽光発電システムを手掛けるサンジュニアなどが参加。早期に研究開発のプロジェクトを設置する。

 南信地域でも昨年12月、県テクノ財団伊那テクノバレー地域センター(伊那市)が「次世代工業化農業研究会」を設立した。内需型ビジネスへの参入を目指す製造業や農業法人など地元の40社・団体が参加。近隣に信州大学農学部があるため連携し、自然エネルギーを生かした機能性食品づくりに取り組む。須坂市グリーン農業研究会との連携も模索する。

 次世代工業化農業研究会の会員企業であるラプランタ(岡谷市)。オリンパス岡谷事業所内のクリーンルームで、2004年からレタスの生産を始め、現在は毎日3000パック出荷する。オリンパス出身の五味文誠社長は「高い品質管理が求められる点で工場野菜はものづくり。製糸や精密工業で高度な技術を培った長野県は、水もきれいで野菜工場に適している」と分析する。

 蛍光灯をあてて栽培するレタスは種をまいてから約40日で収穫できる。天候に左右されないため露地物に比べ20日程度早い。工場では40人のパートが働く。五味社長は「不況下でも減らしていない。野菜工場は雇用創出につながる」と話す。

 経済産業省や農林水産省によると09年4月時点で、野菜工場は県内でラプランタを含め3カ所、全国では50カ所ある。技術開発の拠点整備を支援するなど普及を後押しし、3年で3倍に増やす目標だ。

 関連産業の市場拡大を見込み、参入する企業も相次ぐ。タカノは08年から野菜の水耕栽培に適したLED照明の波長の研究を信大と共同で始めた。茅野市に主力工場を置く東洋バルヴ(東京・中央)は肥料などの養液を排出しない循環型農業システムを開発した。同社の金井隆治常務は「農業分野など環境事業の売上高は現在、全体の1%程度だが、5年以内に2〜3割まで引き上げる」と意気込む。

 ただ野菜工場の普及には初期投資の負担など課題も多い。昨年10月、野菜工場設置の支援事業を始めたエーピーエヌ(諏訪市)の福島知子社長は「流行で始めるのは危険。過剰な設備投資を抑えるためにも、何を栽培するのか目的を明確にすべきだ」と話す。

 課題克服のヒントはある。ラプランタのレタスの価格は露地物の約2倍だが、洗わなくても食べられる衛生管理の高さが食品加工業者向けを中心に好評だ。野菜工場でしかできない付加価値をどう高められるかが普及のカギになる。

(世瀬周一郎)

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