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照明デザイナー石井幹子氏――LED照明、改良加速(トレンドウオッチ)

2009年06月01日 / 日経産業新聞 このエントリーをはてなブックマークに追加

光の質、価格も課題

 発光ダイオード(LED)を光源に使う「LED照明」が注目を集めている。環境意識の高まりに、4万時間という寿命の長さや消費電力の少なさがマッチ。業界地図を塗り替えようと多くの企業が名乗りをあげる。ただ競争が加速する一方で、利用者の視点が見えにくいのも事実。ろうそく、白熱電球、蛍光灯に次ぐ「第4の明かり」の現状をどうとらえているのか、国内外で活躍する照明デザイナーの石井幹子氏に聞いた。

 ――LED照明が徐々に増えてきた。照明の「使い手」として現状をどう分析しているか。

 「数年前、LEDの用途はイルミネーションや自動車ランプぐらいだったが、驚くほどの速さで改良が進んでいる。『明るさ』では照明に使えるレベルになってきた。ただ(実際の色にどれだけ近く見えるかを示す)『演色性』はまだ十分とは言えず、普及を左右するポイントの1つになるだろう」

 「価格もネックだ。4万時間の長寿命をうたっているが、寿命が半分程度であっても明るくて安いLEDがあったほうが良い。人が交換できない場所に付ける照明は実際にはあまり多くないからだ。多様化が進むのではないか」

 ――日本のLED照明ブームは「過熱気味」との声も聞くが各国はどうか。

 「世界的にも日本を含めてアジアの盛り上がりが顕著だ。5月中旬の韓国の展示会はすごい熱気だったし、中国・上海の街はLEDの光であふれている。国の熱心な後押しがあるからだ」

 「一方で欧州は比較的冷静だ。光の質にこだわるため『とりあえずLED』という風潮にはなっていない。白熱電球を廃止する流れのなかで、むしろ小さなハロゲン電球を使う動きも出てきた」

 ――日本企業のLED照明の技術をどうみている。

 「中村修二氏が日亜化学工業在籍中に青色LEDを開発したように、LEDに関する日本の基礎技術は高い。ただし、それを実際の照明に商品化するスピードは韓国、中国勢のほうが速いように感じる。性能面では韓中勢の製品はまだ劣るが、急速に追いつくのではないか」

 ――LED照明の普及には何が必要か。

 「基準・規制を早く作ることがLEDの公正な発展につながる。日本は業界団体を中心に進めているが、韓国や中国と一緒にアジアの基準を作るべきだ。それを欧州や米国と擦り合わせて、世界共通の基準を設けたほうが良い」

 「利用者側に視点を置く国の施策も重要だ。例えば環境省が昨年度から支援を始めた『省エネ照明デザインモデル事業』。単にLEDや高効率の蛍光灯に替えれば良いというのではなく、明かりのデザインまで設計するステップに入った。省エネと心地よさの両立はますます必要になる」

 ――LEDの登場は照明の世界に何をもたらすと見ているか。また、白熱電球を廃止する方針をどう考える。

 「すべてがLEDに切り変わるわけではなく、1つのアプローチだ。新しい光源が加わり『適材適所』ならぬ『適光適所』が進むだろうし、進めるべきだ。白熱電球をなくす必要はない。安さや調光のしやすさなどメリットも大きく、うまく使い分けるほうが重要だ」

(聞き手は佐藤浩実)

 いしい・もとこ 62年東京芸大美術学部卒。フィンランド、ドイツの照明設計事務所で勤務した後、68年石井幹子デザイン事務所を設立。東京タワーや白川郷のライトアップなど、国内外で数多くの照明デザインを手掛ける。

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