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照明技術・デザイン最新事情【落合 勉】

「LED Next Stage 2008を視察して」(その2)LEDの新たなる時代

2008年05月26日 このエントリーをはてなブックマークに追加

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照明デザイナー 落合 勉(M&Oデザイン事務所)
はじめに

 円高と原油や石炭、そして原材料や素材の価格高騰は、新しい社会や経済の在り方、さらには生活形態の再考と新構築が必要といわれています。そのような社会環境の最中、照明の世界において省エネ・省資源で環境共生型光源のLEDは今まで以上に普及促進化が展開されようとしています。そのLEDの照明展示会「LED Next Stage」が今春3月に東京国際展示場・東京ビッグサイトで開かれました。その様相を2回に分けて紹介しています。前回は最新LED照明器具の数々を紹介しました。第2回目の今回はLEDのサインやイルミネーション、さらにはLED素子やモジュールの最新動向を紹介します。


サインやイルミネーションの動向について

 LEDのイルミネーションやディスプレーは、最近では日本だけでなく韓国や中国でもその華やかな演出が目立ちます。LED Next Stage 2008会場では斬新なる新機能製品や派手なパフォーマンスが展開されていました。

 東洋ライト社の"ピクシーライト"と名づけられた折り曲げ可能な白色LEDシート製品は、日本製LEDチップを45センチ四方に144個配置しており、(白色ペットフィルムに導電性銀ペーストをスクリーン印刷させ、プリント配線している。48V直流で0.24A、消費電力12W)ひときわ多くの人たちが関心を寄せ、見入っていました。この製品ですがLEDチップをマウントして表面処理にカバーフィルムを施し、回路の防水性を有したもので、背面には0.5ミリのアルミ板を施し、シートの安定化と施工性さらには放熱性をも高めた優れたLEDシート板です。実際に見て触り、使いやすさを実感した次第です。今後の幅広い用途展開が期待でき、新たなる市場開拓へとつながるでしょう。

 

図1 "ピクシーライト"を展示していた愛知県の東洋ライト社のブース。
図2 折り曲げ可能なる"ピクシーライト"


 イルミネーションやディスプレー関係で最近積極的に市場展開しているエフェクトメイジ社のブースは、前回のLED Next Stage 2006出展時と同様に目立つ展示パフォーマンスを展開していました。そのブース正面には高照度用LED照明器具が展示されており注目しました。中国製のLED器具でしたが、そのデザインは良くまとまっており、中国の製品技術の伸長枯れうかがいしれました。

図3 エフェクトメイジ社のブース外観。LED街路灯も展示されていた

 

図4、5 ブース正面に展示されたLED器具等(エフェクトメイジ)


注目のモジュールや電源部品など

 今回の展示品には使いやすいLED部材製品がいくつもありました。それらの中で注目した製品として"100Vで使用可のLEDモジュール(ファーストシステム社)"と"完全防水のLED電源(ナユタ社)"があります。この2種の製品、共に派手な展示パフォーマンスなどしておらず気づかなかった人も多かったことと思いますが、その使いやすさや品質の良さなどからすぐにでも世界商品になれる優れものでありました。

 

図6 100V使用可の防水加工のLEDモジュールを展示していた
ファーストシステム社のブース。
図7 AC100V製品の大型サイン用LEDパネル「シェルパ-1」(防滴仕様)。内照式看板の薄型光源として効果的。連結は容易で簡易施工となっている(ファーストシステム社)

図8 AC100V使用の光演色LEDライン照明灯具「デリーシアライン-1、-2」。
Ra90以上で3000K, 6500Kの2タイプやサイズ違いもあり、
間接照明や棚下照明などに使いやすい(ファーストシステム社)。


 LEDは低電圧・低電流で点灯するので、弱電気を安定提供する電源部(トランスともドライバーともインバータ、コントローラーとも言われる変換器)が必要です。既存の一般的なトランスにはケミコン(ケミカルコンデンサーの略)と称される電解コンデンサーが内蔵されていますが、このケミコン寿命は5000時間程度の短寿命です。既存光源や室内一般使用状況においてはこの程度の寿命(8時間点灯使用で約2年間)でも良しとされてきました。しかしLEDの長寿命光源(4万時間)という特性を活かすためにも、また屋外や水中照明での使用環境(メンテナンスフリー化)を考慮すると長寿命電源が望まれます。ナユタ社はこのケミコンを使用しない(電源寿命を数万時間にまで延ばした)完全防水の半永久的電源が世界で初めて開発し、展示していたのです。この長寿命防水電源により、今後新型のLED水中照明器具等が出現するでありましょう。

図9 "ケミコンレス"の完全防水LED照明専用電源(ナユタ社)


増加する異業種からのLED照明業界への参入

 先に紹介した白色LEDシート"ピクシーライト"の東洋ライトもそうですが、今まで照明業界には馴染みのない企業が、LED照明分野に新技術を要して新規参入する事例が目立ち、出展社の業務概要の把握に留意しました。ちなみに東洋ライトはバスや電車の時刻表示製作が主で運輸業界に馴染みが深く、ファーストシステムは車載用電子基盤を制作する会社が母体、そしてナユタは医療機器業界の仕事を主としているとのことでした。LED市場は世界規模で急激に伸びると云われます。今後も世界中の異業種から参入が予想されましょう。

 様々な新規参入企業が出揃う中、ひときわ注目したブースがありました。『DU PONT』、あの世界規模で事業展開している化学原料製造販売のデュポン社が異業種10社と連携して出展していたのです。先端技術を有する企業がLED市場に参入し、多様なLEDのコラボレーション産物の創出をめざしデモンストレーションモデルを展示していました。今後の展開に注目した次第です。

 新市場の構築に新しい参入者が現れ、日本の照明界も変わろうとしているようです。

 

図10 デュポンと連携10社の出展ブースの概観/図11 連携10社の企業社名

 

図12、13、14 展示されていたLEDデモンストレーションモデル


多様な形態をみせるLEDランプメーカー

 私たちはLEDメーカーと聞くとLEDランプの製造会社を思い浮かべてしまいますが、このLEDランプは次の形態に分けられます。まずLEDの基本となる発光部「素子(チップ)」を主として生産するLED素子メーカー、その素子を基盤(パッケージなど)に装着するデバイス(部品)メーカー、そしてそのデバイスを複数個並べたり、ヒートシンク(外部放熱器)などをセットしてLED器具に組み立てやすくした灯具部製造のモジュール(基本装置部品)メーカーとあります。そしてさらに、素子からデバイスまで製造する会社もあれば、素子からモジュール、さらにはLED照明器具まで製造する会社といった具合にその事業形態はいろいろです。また昨今は工場を持たない"製造会社"、ファブレスなる事業形態もあり、新しいLEDランプメーカーの形態は多様です。LED Next Stage 2008会場にはその各様LEDランプメーカーが出展していました。

図15 各種LEDモジュールの設計・開発・製造や、それを駆動させるコントローラー、
そしてその照明演出までサポートするフューチャーライト社

 

図16 素子からモジュールまで各種のLEDランプを製造販売するソウル半導体社
図17 10ワット700ルーメンものハイパワー新製品「Z-POWER LED P7」を展示。
このP7は既製品のP4の素子を4個搭載したバージョンアップタイプ。
現時点は6300KのRa70仕様だが、今夏には3000KのRa93等も発売する予定。(ソウル半導体)

図18 ハイパワーLEDで世界先端を競っているシチズン電子のブースでは、
1パッケージあたりの全光束を追求するタイプや、ランプ効率(lm/w)を追求したタイプ、
さらに、白色や電球色などの最新LEDランプが展示されていた。

 

図19 注目のLEDランプ「CL-L220シリーズ」。全光束では白色(5000K)で1150ルーメンを実現、また効率を追及するのであれば102 lm/wも対応可。(シチズン電子)
図20 発光効率70lm/wの薄型線状発光デバイス(パッケージ)は3ワット、7ワットあり、横長手の配光分布を持たせるLED器具に適している。(シチズン電子)

 

図21 白色LEDの先駆的メーカーである豊田合成の出展ブース。
図22 メイン展示していたRGB LED使用の「フロアーマルチビジョン(600×600)」
照明演出装置。(豊田合成)

 

図23 制御機器や装置システム製品など幅広い電気機械器具の製造販売を手がけるIDECオプトデバイスのブース。LED製品にはデバイスからモジュール、そしてLEDスイッチ製品群やLED照明器具の他、LED用電源など幅広くある。(IDECオプトデバイス/IDECパワーデバイス)
図24 半導体や電子部品を手がけるローム社の展示ブース。
LEDディスプレー製品やハイパワーLEDドライバーなどが展示されていました。

 

図25、26 ローム社ブース内に展示されていたLEDユニバーサルスポット棚下器具の
プロトタイプとその説明パネル。


 LEDランプ関連の出展社には上記のメーカーばかりでなく、海外からの出展社(国内代理店も含め)もあり、興味を抱いた製品群がありました。中でも冷暖房ヒートシンクパイプを応用したハイパワーLEDモジュール(図24)に注目しました。

図27 ハイパワーLEDモジュールのデモンストレーションモデル・台湾製。(日本ネオプト社)


各社出揃う電球型LEDランプ

 今回の展示会を見て気づいたこととして、出展社ブースの多くが展示主製品ではなく(展示の一部分としてですが)、電球型LEDランプを出展させていたことがあげられます。日本だけでなく中国、韓国、台湾などの近隣各国で製造された電球型LEDランプ(エジソンベースのE26形)です。この電球型LEDランプ、今後白熱電球代替品(省エネ製品)として普及するでありましょう。

 

図28、29 香港からの出展のOPTILED HOLDINGS社のブースと
電球型LEDランプの展示パネル。

 

図30、31 韓国製電球型LEDランプを展示していた日本エーエム社と
屋外でも使用可とPRしていたLEDランプ(6ワット)。

 

図32、33 商業施設空間のLEDカラー演出で伸長著しいコンテンツ社のLEDモジュールと
電球型LEDランプ

 

図34、35 LED照明器具にすぐ装着できる各種のLEDモジュール(角形、円形、ライン等)を
展示していたシップス社にも電球型LEDランプが展示されていました。


LEDならではの器具出現のために・・・開発が進むLED関連部品

 LED照明の普及には各種の電球型LEDランプも必要ですが、LEDモジュールや専用電源を組み込んでLEDの光特性を活かしたLEDならではの器具出現も必要です。従来光源の代替的LED器具でなく、軽薄・短小、安全・安心の新しいコンセプト製品の出現が望まれます。その為にはLED関連部品の新規開発と新市場の紹介などが必要です。会場でそれらを見つけました。光拡散シートやレンズ、LEDによる植物育成事例の紹介や蛍光ランプ形LEDなどです。

図36 オプティカルソリューションズ社の照明ムラ解消用レンズ拡散版「LSD」。
ホログラム技術を活用したもので、材質はポリカーボでその光透過率は
92%にもなるとのこと。しかも拡散角度も5度〜80度まであり、用途により選別可となっている。

図37 自動車業界の電装機器提供メーカーである大和産業が出展していた
光拡散抑制を持つ新技術製品「アーティスサイン」。
ミクロン単位のクラックを入れる新技術を施した透明アクリル板と
LED光源を組み合わせた自発光形の表示器として展開。

図38 スミペックスの商標で照明業界には馴染み深い住友化学がLEDアクリル板を展示していました。LED光源用導光板や拡散板のアクリルシリーズ製品で可視光の透過を高めたもの。画像の後方が導光板用アクリルで、箱の上に乗っているのが拡散用アクリル。

図39 山口大学の田口研究室では、山口県・財団法人やまぐち産業振興財団を
プロジェクト実施機関として次世代産業育成を推進しており、
LEDやその照明装置の開発を手がけながら、食用植物の育成栽培技術への応用事例や、
医療機器の開発事例等をブースで紹介していました。

図40 プラスチックテクノロジーで建材用品等、幅広い製品提供をしているタキロンからLED光色パネル「αLED'S彩ろぎ」が出展されていました。専用コントローラーとセットのこのLED発色パネルは、新しいコンセプトの室内装飾製品で、インテリアに彩りとくつろぎを提供します。その様子はこの紙面ではなかなか伝えられないほど多彩です。尚、タキロンはその他LEDモジュールなどLED関連製品も手がけています。今後も新しい次世代型製品の産出に期待します。


LEDへの関心の高さをうかがわせた会場内セミナー

 会場内の主催者コーナーでは最新のLED動向が短時間に知ることできるという、内容が充実した多様なるセミナーが開催され、大変多くの人が聴講していました。私も参画したこのセミナー、下記よりタイトルと講演者をご覧になることができます。(プログラムはこちらから)

 

図41 セミナー風景の事例。連日立錐の余地も無いほど賑わっていました。
図42 セミナー会場となりの主催者コーナー。
最新LED実用事例などをパネル紹介していました。


 ところで今回の会場にはデザイン系出版社のブースがありました。LEDの照明特集本の案内を行っていたこの会社、月刊誌「建築知識」や季刊誌「iA」で知られるエクスナレッジ社であり、展示とは別に会場内セミナースペースにおいてインテリアデザイナーの橋本夕紀夫氏を招いて照明デザインの最新事例を紹介していました。その模様をまとめた7月に発刊される照明特集号を楽しみにしています。

 

図43、44 エクスナレッジ社の出展ブースの様子とセミナーの様子


 なお、LED Next Stage 2008と同時開催のJAPAN SHOP会場にもLEDのマルチビジョンディスプレー装置やLEDサイン・什器製品などもあり、見ごたえが十分ありました。そのJAPAN SHOP会場内で見つけたハイブリッド型LED照明灯を最後に紹介して、LED Next Stage 2008視察記を終えます。 了

 

図45、46 JAPAN SHOP会場で見かけたLED照明器具を展示していたミヤチ社外観と
ソーラーや風力発電機とのハイブリット型屋外LED照明灯「i seil (アイセイル)」


補記:この連載コラムの10回目である「照明市場ニーズの3点/安心・省エネ・環境」ですが、その3「環境」編は近日中に追掲載しますので今しばらくお待ちください。

次の記事
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落合 勉 プロフィール

照明技術・デザイン最新事情

落合勉
照明デザイナー、M&Oデザイン事務所代表。
武蔵野美術大学客員教授、愛知県立芸術大学非常勤講師。 
1948年愛知県三河生まれ、1970年渡米、帰国後ヤマギワにて照明を実践。1991年横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る。器具のプロダクトデザインや照明計画などを行う傍ら、国内外の照明関連展示会や企業などを訪れ、グローバルな照明最新情報をインプットする。趣味は古灯具探索(灯油器からアーク灯まで)。2009年7月、Light Bridge Association JAPAN NPO(あかりの架け橋)を設立し、理事長に就任。日本の照明業界の発展のためにLEDとOLEDの普及啓蒙活動を行うとともに、次世代のあかり文化を担う「あかり大好き人間」の育成を目指している。

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