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近ツー、攻めの出店へ、不採算閉鎖一巡で準備万端、規模拡大を追求、競合店横も照準。

2009年10月14日 / 日経MJ(流通新聞) このエントリーをはてなブックマークに追加

改装積極化

 近畿日本ツーリスト(KNT)が店舗戦略で守りから攻めに転じようとしている。不採算店の閉鎖が一巡したのを機に店舗を増やし始めるほか、改装も積極化する。同社は店舗業務を子会社に集約してから1年半以上が過ぎた。商品販売では自社ブランドにばかりこだわらず、出店では競合他社と一緒に商業施設に入ろうとするなど、柔軟な姿勢で巻き返しを図る。

 「来年の新規出店はまだ2つしか決まっていないが、できれば8店は出したい」。KNT傘下で店頭業務を手掛けるKNTツーリスト(東京・千代田)の伊藤淑雄社長は店舗網の拡大に意欲を示す。今年末の店舗数は261になる見通しだが、「稼ぐにはとても足りない。スケールメリットが必要だ」。

 KNTが自社と子会社のツーリストサービスに分かれていた店舗業務を統合してKNTツーリストを設立したのは08年1月。当時の店舗数は270だったが、その後は不採算店の閉鎖が新規出店を上回り、店舗数は純減した。店のリストラが一段落し、ようやく店を増やせる時が来たのだ。

 KNTツーリストは2年間で90店という計画を立て、移転が不要な店舗の改装も進めてきた。それもこれまでは古びた店を明るくするといった環境改善の色合いが強かったが、「今後は店への入りやすさやカウンターまでの動線を見直すなど、攻めるための改装を進める」(伊藤社長)。

 KNTは過去10年間、店の刷新を先送りしてきたという。店頭より団体営業を重視する文化に加え、システムへの投資を優先せざるを得なかった事情もある。店舗専門の会社となり、そんな呪縛(じゅばく)から解き放たれたとも言える。

 商品販売も変わった。以前ならKNTの店で販売するのは95%が自社ブランドの商品だった。今ではこれを7割程度に抑え、「メイト」や「ホリデイ」で対応できない分野は他社商品で補完するようにしている。ツーリストサービスが以前から手がけていたことで、売り手よりも来店客のニーズを重視した結果だ。

 商業施設への出店では、あえて他社の店と隣接する立地を選ぶようになった。JTBやエイチ・アイ・エスと並ぶラゾーナ川崎プラザ(川崎市)などの事例から、集客効果が高いことが分かったからだ。開発業者に「JTBの隣にしてほしいと頼むことだってある」(伊藤社長)という。

 一方、経費削減も続く。「店舗に大型テレビが本当に必要かを精査した」(営業推進室の武田治夫部長)。観光地の映像を流しても実際にそれを見ている人は少ないと判断し、新店では導入を見送っている。また、最近は社員が店舗から顧客の携帯電話に連絡をすることが増えたため、来年からは携帯への連絡が割安になる通信会社に契約を切り替え、通信費を2千万円減らす。

 KNTの09年12月期連結決算は営業損益が35億円の赤字と2期連続で営業赤字になる見通し。業績改善にはネット販売の拡大だけでなく、店舗の売り上げ回復も欠かせないが、KNTツーリストの販売そのものは好調というにはほど遠い。旅行取扱高は発足から1年が過ぎた今年1月以降、前年同月比で大幅減が続く。景気悪化で激化する競争を勝ち抜くには、さらなる営業努力が欠かせない。

(原克彦)

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