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検証ポイント戦略(下)厳しい消費者の目――最適モデル模索道半ば。
「本業へのプラス効果がなくなった」。千葉銀行は3月、ポイントの発行を打ち切った。同行のポイントは定期預金残高などに応じて付与、航空会社のマイルなどに交換できるのが売りだった。みずほ銀行も昨年6月、同様のポイントサービスを終えた。
「バブル」しぼむ
企業のポイント導入が広がったきっかけの1つは、2006年前後の「陸(おか)マイラー」ブームだ。飛行機に乗らずに、買い物などでためたポイントを航空会社のマイルに換えて航空券を入手する消費者が増加。クレジットカード会社などが提携ポイントを相次ぎ発行し、手持ちのポイントを他のポイントに交換する市場が出現した。
だが航空会社を頂点とした「ポイントバブル」は経済危機を経てしぼむ。「身近な店で使える電子マネーのポイントが急速に普及して、マイル人気は相対的に低下した」(ポイント情報サイト)ことが背景にある。東京都江東区の主婦(36)は「以前はマイル一辺倒だったが、近ごろは電子マネーのポイントもためている」と話す。
1兆円を超えてなお広がるポイント市場。だが消費者はシビアに自分の生活に得になるかどうかでポイントを見極めるようになった。住友商事系のポイント交換会社、ジー・プランによると、09年度はためたポイントを現金・電子マネーに交換する消費者が32%と2年前に比べて6ポイント増加。魅力の少ないポイントや関連サービスでは再編・淘汰が始まる。三井物産は1月、ポイント交換サービス子会社のネットマイルの全株式を売却した。「将来の成長戦略が描けなくなった」(同社)
やみくもに発行してきた企業も最適なポイントサービスの再構築に動く。ホンダは12月、ためたポイントの還元率を見直す。車検費用に充てる場合は1ポイント=1円だが、電子マネーのエディに換えると10ポイント=1円と従来の5分の1にする。「300万人いる会員の優良顧客化を優先する」
利用にばらつき
勢いのある共通ポイントにも課題がある。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する「Tポイント」。ポイント目当ての客が加盟店間を行き来するので相互にメリットがあるというのが建前だが、実際は店によってポイントの利用にはばらつきがある。現在は知名度でまさるCCCのレンタルビデオ店でポイント利用されることが多く、コストをかけて発行した他の加盟店からみれば費用の持ち出しになっている。
ある加盟企業の幹部は「運営会社に払う手数料の引き下げ交渉をしている」と明かす。レインズインターナショナルの焼肉店「牛角」、ガソリンスタンドのJX日鉱日石エネルギーはポイント付与率を半減。中古書籍最大手のブックオフコーポレーションは「新規顧客の拡大につながらない」と離脱を決めた。
「恐れているのは加盟店網の限りない拡大」と話すのはある外食チェーン幹部。共通ポイントは「1業種1社」が原則だが、消費者の利便性を追求すれば、業種の解釈があいまいになる。「外食企業にとっては居酒屋もファミリーレストランも競合」と訴える。
企業間競争が激しくなるなか、顧客の誘引装置として日本の消費社会に定着したポイント。だが消費者や参加企業が一様にメリットを享受できる事業モデルを打ち立てるまでの道程はまだ長い。
この連載は永井伸雄、鈴木淳が担当しました。
【表】ポイント事業の見直しが相次いでいる
2010年4月 ヤマダ電機、来店ポイントの付与を携帯電話会員に限定
7月 出光興産、自社クレジットカードでの給油の支払いに対するポイント付与を廃止
9月 ブックオフ、Tポイントから脱退
10月 楽天、Tポイントとのポイント交換サービス終了
三井住友カード、一般カード会員の商品券へのポイント交換比率見直し
11月 ホンダ、購入額に応じたポイント付与率を1.5〜3.0%から1〜2%に引き下げ
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