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物流ジャパン総力戦――デジタル荷札、情報目視、作業カイゼン(マンスリー編集特集)
情報を目視、作業カイゼン
無線通信を使って瞬時に複数の大容量データをやりとりできるICタグが、製造業の物流現場を大きく変えようとしている。リコーはICタグを活用した独自のシステムにより、厚木と御殿場の両事業所間の物流で在庫の滞留期間を40%減らす事に成功した。ICタグで情報を可視化して新たな価値を生みだし、カイゼンにつなげようとする動きが広がりそうだ。
「どのトラックにどの部品がどれくらい積まれているかがわかる。入荷待ちのトラックの状態も一目で把握できる」。リコー生産技術センター第1センター基盤技術開発室の川瀬勉シニアスペシャリストは、パソコン画面を示しながら、リコーの物流改革の成果をこう語る。
リコーはICタグと、繰り返し印字と消去が可能なデジタル荷札を活用した独自システムを立ち上げた。このデジタル荷札は「RECO―view」と呼び、リコーが独自開発。無線通信で数メートル範囲内の複数のデータを一度に読み書きできる日立製作所のICタグ「μ(ミュー)チップ hibiki」と、感熱シートを組み合わせた。
ICタグは約10万回の書き換えが可能で、感熱シートも数百回使える。自動で情報を収集できるうえ、作業員が目視でもデータ内容を確認できるため、仕向け先の間違いなど誤配も防げるのが利点だ。
実用化の第1弾として複写機・複合機の現像ユニットなど基幹部品を生産する厚木事業所(神奈川県厚木市)と、本体を組み立てる御殿場事業所(静岡県御殿場市)、研究開発拠点のテクノロジーセンター(神奈川県海老名市)の3拠点に導入した。3拠点を連携して、物流や在庫、生産工程などの情報管理に活用している。
例えば、厚木事業所の部品出荷場。組み立てを終えた部品が続々と台車に積まれ、出荷待ちのトラックの待機場に向かう。出庫する部品を検品する作業員の姿は見あたらない。作業員が部品を載せた台車をゲートにくぐらせるだけで、瞬時に部品のデータを収集できるためだ。
従来のバーコードを使った部品データ管理では、作業員がバーコード読み取り機を手に、1品1品データを読み取りする作業が必要だった。今ではICタグが入ったデジタル荷札を部品ケースにつけ、ゲートをくぐれば、自動でデータを収集できる。「読み取りする作業員だけでなく、作業スペースの無駄をなくせた」(川瀬氏)と話す。
拠点間物流や部品在庫管理を効率良く運用した結果、厚木と御殿場事業所間の物流では在庫の滞留期間を40%減らし、入出庫の作業工数を75%削減した。
東芝テックも今春、アパレル業界で日本初となるICタグを駆使した店舗運営システムを衣料ブランドの「I.T.'S. international」で実用化した。生産から物流、店頭までのサプライチェーンをICタグを使って構築した。例えば物流センターで出荷検品にICタグを採用して出荷精度を向上させ、店舗で正確な出荷情報を事前に入手できるようになった。無線で一挙に商品データを収集し、店員の検品の作業負担を大幅に削減できたという。ICタグの運用では在庫情報などを作業員全員が一覧して共有でき、これまで見えなかった課題を把握し、カイゼンにつなげられる効果も見逃せない。
サトーも無線通信のできるICタグを自社の物流センターに導入した。センター―工場間のパレットなどの行き来を管理している。従来把握できなかったパレットの所在や実数管理が可能になった。適正量の管理に威力を発揮している。「タグが重なったり裏側を向いたりしても暗い中でも読み取りでき、作業効率が高まった」(サトー)。在庫情報の可視化で、部品・製品管理や物流の現場は一変しつつある。
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