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電子マネー、地域へ浸透、商店街、大手の力借りる――ワオン、スイカ。

2010年03月05日 / 日経MJ(流通新聞) このエントリーをはてなブックマークに追加

ワオン 観光施設  スイカ 駅周辺に

 電子マネーの利用が全国に拡大している。「ワオン」を運営するイオンは香川県や島根県などの商店街に導入を進め、2009年度の決済利用拠点数は08年度の4倍に。東日本旅客鉄道(JR東日本)の「スイカ」も積極的に拠点を増やす。商店街も軽い負担で顧客へ利便性向上をアピールできると導入に意欲的。かつては対立した大型店と商店街が、電子マネーで共生を探っている。

 「ワオンは地域活性化の共存共栄の象徴」と話すのは香川県高松市の高松兵庫町商店街振興組合理事長の修理伸一氏。昨年12月、和菓子店や美容室、うどん店など30店以上で利用できるワオン機能がついた電子マネーカード「めぐりんWAON」の利用を始めた。カード発行枚数は3カ月あまりで5万枚を超した。

 地域の商店街にとって大手資本の販促策に乗れる利点は大きい。例えば兵庫町商店街では12月から、イオンが運用する15分離れたジャスコ店舗行きの周遊バス発着場が商店街内にでき、「顧客の回遊性が高まった」(修理氏)という。

 「何千万、何億円という導入コストを負担せずに、販促から運営まで相乗りできる効果は大きい」とワオンと商店街を結びつけた、めぐりん事務局(高松市)代表の善生憲司氏は話す。

 ワオンは世界遺産で著名な島根県大田市で「石見銀山WAON」を09年4月から発行しており、観光施設でも利用可能。現在8地域の商店街がワオンを採用。10年4月上旬からは同県隠岐諸島で「隠岐ジオパークWAON」を発行するなど2地域での利用も予定している。近隣のイオン店舗とだけでなく、観光客がそれぞれの地元でワオンを利用する動機づけにもなると期待する。

 JR東日本では駅周辺部の商店街を中心に、電子マネーの決済端末設置を呼びかける。現在、巣鴨駅前商店街(東京・豊島)や衣笠商店街振興組合(神奈川県横須賀市)など4地域が導入。「駅周辺部の商店街からの問い合わせが増えてきている」(JR東日本)という。首都圏の電車・バス共通IC乗車券「パスモ」も駅前周辺部を中心に拠点を拡大している。

 鉄道系電子マネーは、決済件数が伸びることで2つの利点がある。1つは対応システムの運用負担軽減と利益率向上であり、もう1つは駅設備の効率化だ。スイカ利用者が増えるとJR東では、券売機設置台数を減らせるなどの恩恵も広がる。

 09年1月末の主要6電子マネー(前払い式)の利用拠点数(自動販売機やタクシーなど含む)は延べ46万6千カ所と1年で4割以上増えた。

 すでに全国チェーンのコンビニエンスストアやスーパー、ファストフード店では電子マネー対応が進んでいる。今後の課題となる地方の商店街や地方企業への浸透も09年度から目立ってきた。

 野村総合研究所の安岡寛道・上級コンサルタントは「地域に閉じた『地域通貨』は利用しづらく失敗が多い。その点、汎用性があり全国規模で知名度の高い電子マネーを活用することで弱みをカバーできる」と話す。

 電子マネーは通貨として「いつでもどこでも」利用できることが求められる。決済件数と利用会員数増大には相乗り効果が高い。今後も中小企業から地域の商店街まで、利用拠点数は拡大していきそうだ。(五十嵐孝)

【図・写真】イオンは観光施設でも使える「石見銀山WAON」を発行(島根県大田市)

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