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電子決済・ICカード海外情報局【電子決済研究所/山本国際コンサルタンツ】

覚えておきたいキーワード「NFC」「SEPA」「CALYPSO」

2009年10月05日 このエントリーをはてなブックマークに追加

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文・多田羅 政和(電子決済研究所 代表)

電子決済の広がり

 『IC CARD WORLD』ウェブサイトをご覧の皆様、こんにちは。電子決済研究所の多田羅です。

 この9月に電子決済研究所という調査・研究機関を設立しました。『IC CARD WORLD』のテーマであるICカードやモバイルFeliCaとは非常に近しい分野ですので、こちらのスペースをお借りし、電子決済やICカード、モバイルに関する海外の情報をご紹介していきたいと思います。
 さて、「電子決済」という言葉を耳にしますと、電子マネーや、クレジットカードなどを使ったインターネットショッピングを想像される読者も多いかと思いますが、当研究所ではもう少し広くとらえています。

 非接触ICカードやインターネット決済などは見た目のITっぽさに騙されがちですが、実はわれわれの身の回りの支払いは、すでにかなりの部分で電子化が進んでいます。例えばクレジットカードの場合には、お店のレジでの承認作業や売上処理などが通信回線を利用した電子的な処理で行われていますし、口座番号や取引番号を利用した銀行振込なども、後ろ側の仕組みとしては当然、電子的な方法で処理されています。

 つまり、現金や紙の商品券以外の方法で行われる決済は、すべて電子決済である、という考え方が当研究所のスタンスです。これまで当たり前に使われてきた磁気式のプリペイドカードも、電気やガス料金の支払いでおなじみの口座引き落としなども、すべて電子決済に位置付けられると思っています(※1)。

今年、注目される3つのキーワード

 さて、言葉の定義が済んだところで、さっそく海外の電子決済・ICカード事情を見ていきましょう。歴史や実績はさておき、ICカード先進地域のヨーロッパで今年注目すべきキーワードとして、下記の3つが挙げられます。一つずつ、簡単に説明していきましょう。

テーマ1・・・NFC[モバイル活用]

 ここ数年、IC CARD WORLDに足を運ばれた方であればすでによくご存知かもしれませんが、日本のおサイフケータイの進化形として注目されている規格が、NFC(Near Field Communication=近距離通信技術)です。非接触型ICチップを携帯電話やリーダライタ(読み取り端末)に組み込む技術ですが、日本のおサイフケータイがEdyやSuicaなどの電子マネーでおなじみとなったFeliCa方式のみに対応しているのに対して、NFCでは非接触ICカードの国際標準規格であるISO/IEC 14443(TypeAとTypeB)、さらには一部のICタグにも対応していることが一番大きな違いです。

 昨年、筆者が視察でパリを訪れた際には、フランスの一部地域で実証実験が行われ、利用者の評判も上々との説明を受けました。そして、来春(2010年)からはさらに実験の規模を拡大し、フランス南東部の都市、ニース(Nice)を『NFC都市(NFC City)』に仕立てるというプロジェクトが進行中です。海外でおサイフケータイが成功するかどうかを占う上でも、このプロジェクトの行方は気になるところです。

テーマ2・・・SEPA[決済分野]

 SEPA(Single Euro Payments Area)は、金融・決済系のカードに大きく影響する動きとして注目されます。直訳すると"ユーロ単一支払地域"となりますが、ユーロで果たした通貨統合と同じように、対象地域内では国内・国外の区別なくカード決済や口座振込、口座引き落としのサービスが共通利用できる仕組みへの移行を目的としています。ICカードとの関連性では、クレジットカードなど決済系カードのEMV(金融系ICカードの標準仕様)化の義務付けなどがあります。

テーマ3・・・CALYPSO[交通分野]

 音の響きはそうですが、音楽の名前ではありません(笑)。CALYPSO(カリュプソ)はICカード交通乗車券の国際標準仕様として、ヨーロッパを中心に採用が進んでいる規格の名称です。ヨーロッパの鉄道などでは、日本のような移動距離に応じた運賃制度ではなく、一定のエリアごとに定額を徴収するゾーン制を採っており、CALYPSOもその運用に対応した仕様であるのが特徴です。日本のICカード交通乗車券がFeliCa方式を採用しているのに対して、CALYPSOではTypeB方式をベースとしているといった違いもあります。

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パリの改札風景。CALYPSO仕様準拠のICカード交通乗車券「NaviGo」が利用されている。

毎年11月に欧州視察ツアーを実施

 ところで、カードビジネス関連では世界最大規模といわれる展示会『CARTES & IDentification』(展示と講演会)が、今年も11月に開催されます。電子決済研究所ではこの会期に合わせて、カード先進地域であるヨーロッパの動向把握を目的とする視察ツアー(視察地:パリ・ロンドン)を企画しています。上記でご紹介したキーワードの情報アップデートや、そちらで得られましたお土産話は随時こちらのページでご紹介させていただきますので、ぜひまたお立ち寄りください。

 次回のコラムは、この視察団の団長であり、当研究所のパートナーでもいらっしゃる山本正行さん(山本国際コンサルタンツ 代表)にバトンをお渡しいたします。お楽しみに!

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左) 近年、『CARTES & IDentification』の会場となっているパリ・ノール・ヴィルパント見本市会場
右) 各国からの来場者で賑わう『CARTES & IDentification』会場内の様子


※1 なお、日本銀行(日銀)などでは、すでに普及して久しいことを理由に、従来からあるクレジットカードや口座振替などは電子決済には含めないものと定義しています。

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電子決済研究所/山本国際コンサルタンツ プロフィール

電子決済・ICカード海外情報局

多田羅 政和 (写真左、Masakazu Tatara)
電子決済研究所 代表。
カードビジネス専門誌『カード・ウェーブ』編集長、『モバイルメディア・マガジン』編集長を歴任した後、(株)シーメディア・ITビジネス研究所でマーケット調査やコンサルティングに従事、『電子決済総覧』『ICカード総覧』等の研究レポートの編集・執筆にも携わった。2009年7月に独立し、電子決済(クレジットカード、eコマース、電子マネー・プリペイドカードなど)、ICカード技術、生体認証技術、CRM・マーケティング(ポイントカード、電子クーポンなど)、ITセキュリティ(3Dセキュア、PCI DSSなど)といった、いわゆるICT全般に関連したビジネスを手がける調査・研究機関として、電子決済研究所を設立。


山本 正行 (写真右、Masayuki Yamamoto)
山本国際コンサルタンツ 代表。
主に決済サービス事業の企画、戦略立案を専門とするコンサルタントとして、銀行、クレジットカード関連会社、通信キャリア、鉄道会社などの事業化、サービス企画などを支援。
山本国際コンサルタンツは、電子決済、ICカード、モバイル、認証、CRM・マーケティング、ITセキュリティなどの分野で活躍するコンサルタントから構成される組合組織(2009年7月開業)。電子決済・ICカード・モバイル等ICT関連ビジネスの事業支援をはじめ、マーケティング支援、コンサルティング、教育、調査、外資系企業の日本参入に関するビジネスモデル調査・支援(非会計分野)、日本企業の海外進出、海外向け製品販売の支援などのサービスを提供する。
他に、山本コマースITオフィス事業主、関東学院大学経済学部経営学科講師、(社)電波産業会 高度無線通信研究委員会特別委員(モバイルコマース担当)も務める。講演、執筆多数。

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