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コンビニの海外戦略(下)セブンイレブン・ジャパン酒井良次氏(キーパーソンに聞く)

2010年07月23日 / 日経MJ(流通新聞) このエントリーをはてなブックマークに追加

セブン―イレブン・ジャパン取締役 酒井良次氏

日本のノウハウを提供

 ――セブンイレブンの海外店舗の現状は。

 「セブン―イレブン・ジャパンが出資して展開している米国と中国の店舗と、完全子会社の米セブン―イレブン・インク(SEI)がライセンス契約した現地企業が出店している店舗がある。現在、日本を含めて16カ国・地域に約3万8400店あり、毎年2千店ペースで増えている」

 ――米国子会社のSEIとライセンス契約している各社との連携は。

 「SEIはライセンスを供与してきたが“看板貸し”にとどまっており、各社に十分なノウハウを提供してこなかった。今後は、日本が独自に築いてきたノウハウを海外に生かせないかと考えている」

 「セブン―イレブン・ジャパンとSEIがチームを組んで各社を支援する仕組みを考えている。まず先方と現状を分析し、課題を明確にしたうえで具体策について交渉する。相手は独立した会社だから合意を得ながら進めることが必要だ」

 ――新たな国・地域への進出は。

 「ここ1〜2年は新しい国への進出は考えず、既存チェーンの日販を引き上げることを最優先する。それが成功すれば、新しいエリアへの出店も一気に加速できると思っている」

 ――その場合も資本関係を結ばないライセンス契約が中心か。

 「小売りは基本的にドメスティック(国内的)な事業で、日本から出かけていくのは難しい部分がある。地場の有力な企業とライセンス契約するのが一番いい形ではないか」

 「各社からSEIに支払われる商標使用料などのロイヤルティーは、連結決算の売上高を伸ばすインパクトはないが、利益には算入される。自ら会社を設立すれば、投資もさることながら、仮に撤退する場合もコストなどの問題が出る。売り上げではなく、あくまで利益を重視している」

 ――セブン―イレブン・ジャパンが出資している米国と中国の現状は。

 「1〜6月の米国は直営店のみのハワイを含め、既存店売上高が前年を上回り大幅増益だった。中国は北京、天津両市に出店している子会社セブン―イレブン北京が5〜6月に黒字を計上した」

 ――今後の出店計画は。

 「中国が大きな位置を占める。2市の店舗数は当初の想定を下回る93店にとどまっており、出店加速が課題だ。北京は面積が165〜198平方メートルの大きめの店舗を出していることもあって、オーナーの候補者がなかなかみつからない。今後は多少小さい店でも柔軟に出店していく方向で考えている」

 「沿海部だけでなく内陸部の都市もインフラが整備されてきており、有望な地域があると考えている」

 ――海外でM&A(合併・買収)は考えないか。

 「セブン―イレブン・ジャパンがコンビニを買収することは、日本国内では可能性はほとんどないと思う。ただ海外では、韓国のセブンイレブンが地元チェーン『バイ・ザ・ウェイ』を買収した例もあり、今後も起こりうるだろう」

記者の目

各国に合った工夫が必要

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は4月、世界の「セブンイレブン」の全店売上高を2014年までに10兆円に倍増する目標を掲げた。前提になるのは米セブン―イレブン・インク(SEI)とライセンス契約を結ぶ各国・地域の底上げだ。

 鈴木会長が日本で創業した際、SEIの前身サウスランド社の経営マニュアルは「どこを訳しても求めていた経営ノウハウはなかった」という。自ら築いた日本のノウハウを生かすには、各国・地域の生活習慣などに合わせてカスタマイズする工夫も必要になりそうだ。(天野豊文)

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