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防災列島技術が支える――身近な危険の備え急ぐ、ビル・役所(マンスリー編集特集)
施設使用中に耐震補強
苦境にあえぐ建設業界。建設経済研究所によると2010年度の建設投資額は前年度比6・8%減の39兆3200億円と1977年度以来の低水準になる見込みだ。公共事業の大幅な削減が響く。新設が見込めないなか、ゼネコン(総合建設会社)が目を向けるのが既存の建物のリニューアル工事だ。
「防災のトビシマ」をうたう中堅ゼネコン、飛島建設が力を入れているのが、既存ビルの耐震補強工事だ。学校やオフィスビルなど中高層のビルで施工できる独自の耐震補強工法「トグル制震構法」の売り込みに躍起だ。
トグルは、テコの原理が基になっている。揺れによる層間変形のエネルギーを2〜3倍に増幅してオイルダンパーに伝え、効率よく吸収する仕組みだ。補強個所数を従来工法より減らすことができ、居住性を損なわない。施工期間も短く、居住したままの工事も可能だ。
ここ数年、大幅に受注を伸ばしてきたが、09年度は設置基数で800基と08年度比で34%減った。予算と緊急性を勘案して、自治体などが耐震補強工事の発注を絞ったためだ。
10年度は「学校関係だけでなく庁舎にも案件が出ており、受注は戻りつつある」(トグル事業部の田代和広事業部長)。10年4〜6月期の設置基数は211基で、このうち秋田県庁舎への設置が過半を占めた。都道府県庁舎へのトグルの設置は初めてという。
同社と仙台市、山下設計東北支社(同市)、東北工業大学は、トグルを設置した仙台市本庁舎で地震観測も始めた。制震装置の効果を検証するために地震計と震度表示用モニターを設置。防災意識の啓発を狙い、市民に見えやすいようにした。
政府の地震調査研究推進本部が計算した宮城県沖地震の発生確率は10年1月1日を基準として10年以内は70%程度、30年以内になると99%に達する。地震国・日本のなかでも、特に備えが欠かせない地域の一つだ。庁舎のロビーに装置の現物と、工法を説明したパネルも併設した効果もあり、田代氏は「引き合いがある」と明かす。
トグルは自社施工だけでなく、地方ゼネコン向けに装置を提供する代理店制度、ほかの大手ゼネコンに供給するという3つの商流で普及を進めている。代理店はすでに17社で、「今後は地方ゼネコン以外にもチャネルを広げたい」(田代氏)。次世代トグルの開発も目下進行中だ。詳細は明かさないが、「コストダウンをさらに進めたい」(同)と意気込む。
耐震技術は日本のゼネコンの技術力を示せる分野の一つ。国内だけでなく、海外でも各社の技術が活躍するチャンスは十分にありそうだ。













