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マンション、子育てに的、保育所や小児科を誘致、キッチン近くに遊び場。
マンション各社が子育てのしやすさをうたった住宅の供給に力を入れている。住戸の内装や設備は母親の目線に立って考え、共用部に子供も母親も集いやすい施設を設けたり、保育所を誘致するなど工夫している。マンション市況が都市部で回復してきたが、物件間の競争は激化しつつある。住民が生活しやすい環境づくりで特徴を出し、他社と差を付けようとしている。
「はたらくママ」を全面サポート――。有楽土地など5社が埼玉県戸田市で開発している「グランシンフォニア」は仕事を持ち家事もこなす女性に照準を合わせ、設備やサービスを作り込む。
夜9時まで子供を預かる保育所を誘致。病児保育にも対応できるシッターサービスも導入予定だ。共用部に布団を丸洗いできる洗濯乾燥機を設置。イオンと提携し、同社のネットスーパーを利用した住民は特別に夜間や土曜日午前にも配達してもらえるようにした。
共用部の多目的室では育児する父親向けに子供との接し方などを教えるセミナーなどを開催予定だ。各住戸は食器洗い乾燥機など家事時間の短縮を可能にする設備を標準装備。小さな子供も自分で明かりをつけられるよう、照明スイッチは床から1メートルの高さに設ける。
「女性が働くことをあきらめずにすむ住まいを作りたい」。有楽土地開発本部の石井裕子販売推進部長は狙いを語る。企画を立てる際、戸田市の女性にグループインタビューを実施。共働き家庭が多い一方で保育施設が不足しており、待機児童が多い実態をつかんだ。
併せて同社の女性従業員にも調査。コンサルタントの小室淑恵ワーク・ライフバランス社長が発起人を務める「ママサポ・プロジェクト」にも参加して、負担を減らせる住宅設備やサービスのあり方を詰めていった。
総戸数923戸で、価格帯は3500万〜4500万円台となりそう。発売は10月の予定だが、問い合わせは30代男女を中心に2000件を超えた。石井氏は「年内に250戸の販売契約を結びたい」と話す。
伊藤忠都市開発の「クレヴィア京王堀之内パークナードII」(東京都八王子市)は体調を崩しやすい子供を育てる安心感を追求した。8階建ての1階に診療所モールと調剤薬局、2階に認可保育所を誘致。1階に入居する小児科医院に病児保育室がある。2階の保育所は病気にかかった子供を預かれないが、住民が事前に八王子市に利用登録していれば1階の医院で病児保育を受けられる。
育児のために短時間勤務の制度を取り入れる企業は増えつつあるが、子供の急病に合わせて朝の勤務を急きょ変更できるような職場はまだ限られる。同マンションは保育所や小児科、病児保育室が施設内にあり、手間や時間を省けるわけだ。
当初は高齢者も対象だったが、京王電鉄の駅から徒歩2分という好立地でもあり、住民の多くは30代。伊藤誠販売促進課長代行は「住んだ後の安心感を買われている」と評する。7月中旬までに約8割が契約済みだ。
東京建物と東京電力子会社の東電不動産が横浜市で開発したマンション「ブリリアアーブリオ戸塚」は、間取りや住設機器に配慮した。台所で家事をする母親の目が子供に行き届くよう間取りを工夫。居間や台所に隣接する部分に「コミュニケーションライブラリー」と呼ぶ遊び場を設けた。
子育て相談などを手掛けるミキハウス子育て総研(大阪府八尾市、藤田洋社長)が「子育てにやさしい住まいと環境」と認定。すでに完売し、今月下旬に入居が始まる。
賃貸マンションにも子育ての配慮が生きる。東急不動産子会社、東急リロケーションは保育所を誘致した賃貸マンションの入居者募集活動を今月始めた。横浜市の「ブローテ大倉山」は約950平方メートルの中庭やキッズルームを設けた。玄関前のポーチを広く取り、ベビーカーを置きやすいよう配慮した。物件自体はポーラ・オルビスホールディングス(東京・中央)の不動産子会社、ピーオーリアルエステート(東京・品川、岩竹昇一社長)が開発。横浜市の「地域子育て応援マンション計画」の認定を受けた。
独自サービス競う 自治体の思惑と一致
都市部のマンション販売は回復に転じつつある。不動産経済研究所がまとめた6月の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新規発売戸数は5130戸と前年同月比66・6%増。現在販売中の物件は大手デベロッパーが都心部で開発したものが多い。
好立地の物件は土地の取得価格が高く、販売価格も上がりがち。そこで各社は価格に見合うサービスや設備の提供を競っている。初めて住宅を買うような30〜40代男女にとって子育て支援体制は住む地域を選ぶ上で重要な要素。内部に保育所などを置くことで物件の付加価値も高められると各社は判断している。
子育て支援体制は地域からの要請でもある。横浜市など一部自治体は保育所を地域に誘致する目的で、設備の整ったマンションを「子育て支援拠点」として認定する制度を持つ。自治体は新たに保育所を開設する場所の確保に苦慮し、新築マンションを格好の拠点とみる。子育て支援マンションが拡大している背景には、待機児童を解消したい自治体とマンション開発を速やかに進めたい事業者との思惑が合致している側面もあるようだ。(林さや香)













