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不動産大手、高齢者向け住宅拡充急ぐ、介護と組み事業拡大、需要にらみノウハウ蓄積。
不動産大手が高齢者向け住宅事業の拡大に乗り出している。東京建物やNTT都市開発は介護事業者と組んで高齢者専用賃貸住宅を開発。東急不動産も有料老人ホームなどの開設を拡大する。高齢化の進展で高齢者に対応する住まいの提供は急務。ただ持続的な事業拡大には不足する介護事業の担い手を増やす長期的な取り組みも必要だ。
観光客でにぎわう東京・浅草の浅草寺裏手に、地上14階建てのマンションが建った。東京建物が初めて開発、運営する高齢者専用賃貸住宅(高専賃)の「グレイプス浅草」だ。
高専賃は高齢者の入居を前提とし、一定の設備やサービスを提供する賃貸住宅。介護事業者や社会福祉法人が設置するケースは多いが、不動産大手が自ら運営するケースは珍しい。介護サービスの提供でやさしい手(東京・目黒、香取幹社長)と提携、要介護者も安心して住めるようにした。
「住まいづくりで介護事業者とデベロッパーのノウハウを融合した」。新規事業開発グループの近藤学グループリーダーは胸を張る。間取りや内装の選定に際し、のべ2500人超の高齢者にネット上やセミナーなどで意見を募った。
水回りは現場で働くやさしい手のヘルパーの動きを実際に示してもらい形状を決定。風呂場を広くとり、引き戸を一般的な2枚から3枚に増やしてヘルパーが高齢者を介助しながら出入りしやすくした。台所も住設機器メーカーの工場内で車いすに乗った状態で使用感を試し設計を特注した。一方で、収納は従来の高齢者住宅よりも多く設け使いやすさも追求した。
2月の開業から5カ月で全99戸の5割強が入居済み。地域外から移り住んできた人々が大半を占める。「高齢者が望む機能を備えた家として認識してもらった」(近藤氏)。今後も用地の規模や地域性で適した物件は高齢者住宅として開発を検討したい方針だ。
NTT都市開発も高専賃「ウェリスオリーブ新小岩」を開発、5月に開業した。現在全46戸のうち約25%が入居申し込み済み。入居時にNTT東日本関東病院(東京・品川)で人間ドックを無料受診できるサービスを提供するなど他施設と差を付ける。介護の提供ではベネッセホールディングスの介護子会社、ベネッセスタイルケア(東京・渋谷)と提携し、きめ細かなサービスを目指す。
両社が高齢者住宅に参入した背景には高齢化の進展がある。単身・夫婦のみの高齢世帯は2030年には現在の2割から全世帯の3割弱まで拡大する見通し。一方で対応する住宅や有料老人ホームの供給量はまだ少ない。今後、政府も高齢者住宅の整備を進める見込みで、不動産会社も参入の余地があると読んだ。
高齢者住宅で先行する東急不動産も本格展開に乗り出す。04年の参入から8年目となる今夏に9件目の住宅を開設、今後も首都圏を中心に順次物件を開発する方針。三浦宏シニアライフ事業本部長は「住宅の一形態として高齢者住宅をとらえプレゼンスを高めたい」と話す。
ただ介護サービスの担い手は不足している。関連法制の改正があれば見込み通りの収入が得られないリスクもあり、各社とも現時点では施設を大量に造る計画は組みにくい。1施設が全戸稼働しても収入は年間数億円規模にとどまり、今は収益追求よりもノウハウ蓄積が主体だ。高齢者向け需要は確実に拡大するだけに、息の長い戦略を構築する必要がありそうだ。(林さや香)













