ニュース
確かな安心、インフラ新時代――技術創造、安全下支え(マンスリー編集特集)
免震 既存建物、揺れに強く
都市インフラの整備に向けて、ゼネコン(総合建設会社)などが独自の建設技術を磨いている。東日本大震災後、特に重視されるようになったのが建築物を地震の揺れから守る免震技術、液状化現象を防ぐ地盤改良技術などだ。安心・安全を担保する防災機能の高さが都市の価値を左右する時代に、こうした技術が魅力ある都市づくりには欠かせなくなっている。
東日本大震災では大地の揺れと建物を断ち切る「免震技術」を備えたビルへの被害が相対的に少なく、技術の優位性が広く認知された。ただ、既存の建物を免震化する場合は新築以上に手間がかかる。柱の間に挟み込むように免震装置を設置する必要があるためだ。
鹿島は東日本旅客鉄道(JR東日本)から受注した東京駅丸の内駅舎の復元工事で、駅舎を丸ごと免震化した。免震装置の数は約350台。既存の建物を免震装置で補強する「免震レトロフィット工事」としては日本最大規模だ。
工事は駅舎の地下に新たな空間を作るため駅舎全体を支える「仮受け工事」の作業から始まった。地下構造物を地上に近い階から施工していく「逆打ち工法」によって、免震層の下に地下1階と2階を新設。その後、免震装置を備えた新設の柱に駅舎の荷重を移し、仮受け支柱を撤去した。
新設の地下構造物の上に免震層を介して地上の駅舎を載せる構造にして地下の免震化工事は完了。地上で続く駅舎の復元工事も今秋までに完成する予定だ。
大林組は地震で建物が揺れる方向とは逆に建物を動かし、揺れを抑え込む新技術「ラピュタ2D」を実用化した。技術研究所(東京都清瀬市)の本館は地下の免震装置に加え、周囲に4つの巨大なアームを備える。地震が発生するとセンサーが揺れを感知。アームが建物を動かし、建物内の揺れを大きく減衰させる。
大成建設は超高層ビル特有の「長周期地震動」を防ぐ技術を磨いている。東日本大震災では遠方の震源地から伝わる地震の揺れで高層建築が共振する長周期地震動の影響で、新宿副都心など都内の超高層ビルが大きく揺れた。大成建設はビルの柱や梁(はり)に負担をかけずに震動を抑制できる装置を中層階に設置する「T―RESPO構法」による改修工事の需要開拓を進めている。
オフィスビルに求められるのは耐震性能だけではない。電力供給への不安から省エネ機能への要求水準も高まっている。
清水建設は二酸化炭素(CO2)排出量を従来ビルの半分に抑制できる「カーボンハーフ」ビルの建設技術を企業に売り込む。太陽光パネルを組み込んだ構造材、天井からの放射熱を活用する「輻射(ふくしゃ)空調」、エネルギー消費を制御するノウハウなどを盛り込んだ自社ビルも東京都中央区内で建設中だ。
都市を彩る最新鋭のオフィスビルや商業施設。その耐震性能や環境性能は年々高まっているが、建築工事の受注を狙うゼネコンは一段上の技術開発に余念がない。震災後、企業の安心・安全を求める意識は一層強まっているだけに、都市インフラを創造する技術の開発競争も激しさを増しそうだ。














