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戸建て、省エネに気配り――アキュラホーム、積水化学工業、ミサワホーム。

2012年01月20日 / 日経産業新聞 このエントリーをはてなブックマークに追加

樹木や自然風も活用

積水化学工業 電力使用などネット管理

ミサワホーム 「HEMS」

アキュラホーム 売電年5万円 下回れば補償

 戸建て住宅各社が環境や省エネに対応した機能を一段と高めた新製品を相次いで投入している。東日本大震災やその後の政府による節電要請などで消費者の意識が変化していることを捉えた。各社は震災前より積極的に、風や地中熱の利用、太陽光発電設備の設置などと、快適に暮らす新しい設計を組み合わせ、住宅需要を掘り起こそうと懸命になっている。

 三井ホームが5日から沖縄県を除く全国で販売を始めた注文戸建て住宅「chou chou with ECO(シュシュ ウィズ エコ)」。気密性や断熱効果の高いツーバイフォー工法に新たに「パッシブエコ」「アクティブエコ」という考え方を取り入れた。

 パッシブエコでは、自然をできるだけ活用。南側には落葉樹を植えて夏は日よけに、冬は葉が落ちて日が当たるようにする。北側には常緑樹を植えて冷たい北風を遮る。また1、2階の居室の2方向に開口部を設けて自然風の流れを換気に生かすほか、屋根には断熱性の高い素材を使う。

 一方、アクティブエコでは、太陽光発電設備や発電と同時にお湯を作れる家庭用燃料電池「エネファーム」を設置する。モデルプランの基本の坪(3・3平方メートル)単価は69万5000円。4月下旬、仙台市など3カ所にモデルハウスを設ける計画だ。長谷裕専務は「坪単価は従来商品より若干上がるが、省エネ機能をテコに需要を取り込みたい」と語る。

 省エネ性能を金銭で補償するユニークなシステムを考案したのは、アキュラホーム(東京・新宿)だ。2日から3月31日までの期間限定で発売した「長期優良エコ住宅 Meguru―Plus」では太陽光発電の売電による「光熱費収入」が年間5万円を下回った場合、差額分を同社が補償する。高性能の太陽光発電設備を置く一方、使用電力量を減らして光熱費収入を増やす発想だ。

 高効率のエアコンやLED(発光ダイオード)照明、蓄熱床システムなどの省エネ設備を取り入れて大幅な節電につなげる。省エネ住宅を発売する住宅メーカーは相次いでいるが、アキュラホームの担当者は「省エネ性能を金銭で補償する例は当社のほかにはないのでは」と自信を見せる。

 積水化学工業が3日投入した鉄骨造りの「ハイムbjベーシックエディション」は、インターネットを通じて電力の使用量や設置した太陽光発電設備での売電の情報などを管理する「スマートハイム・ナビ」を導入した。購入者に節電に役立ててもらう。巨大地震にも対応できる耐震システムも取り入れた。

 28〜32歳の「バブル後世代」を主な顧客層に想定。家の中でよく人が行動する動線上に家事や掃除の道具がしまえる「家事収納」を設けるなど、子育てのしやすさを前面に打ち出したのも特徴だ。坪単価は61万円から。2012年度に800棟の受注を目指す。

 根岸修史社長は「震災後、社会的に節電意識が高まった」として今後、新たな住宅商品に低価格の蓄電池を導入するなど省エネ化を急ぐ方針だ。

 ミサワホームも7日、「太陽と風のスマートハウス。」をキャッチフレーズにした「M―SMART MODEL」を発売した。住宅内でエネルギーを使う機器をネットワーク化して自動制御するシステム「HEMS」を導入。太陽光発電や蓄電池、空調管理など省エネに役立つ様々な装置も取り入れている。

消費者、住宅取得に慎重姿勢

販売戸数増、価格下げ課題

 住宅需要が低迷する中、消費者の環境や省エネ意識の高まりに対応した新製品の投入で活路を開こうとするメーカーは増える一方だ。このため、太陽電池や燃料電池など一つの機能だけではなく、様々な環境や省エネシステムを組み合わせるなどして他社との違いを出そうとする動きが広がっている。

 国土交通省が発表した昨年11月の新設住宅着工戸数は前年同月比0・3%減の7万2635戸と3カ月連続で前年実績を下回った。東日本大震災後の消費者の節約志向などに加え、首都圏沿岸部などでは液状化の被害を受けたことなどで消費者は住宅取得に慎重だ。若い世代では住宅取得自体に興味が薄い人が増えたとの指摘もある。

 一方で震災後、省エネ志向などは一段と強まった。積水化学工業の調査研究機関、住環境研究所(東京・千代田)が実施したアンケート調査では震災後、住まい選びで重視するポイントとして「地震や火事などへの安全性」「冷暖房などの省エネ対応」の上昇が目立った。

 ただ、現実的には、様々な環境や省エネシステムを盛り込んだ新製品の販売を伸ばすには、価格をできるだけ抑えることが不可欠。省エネ機器メーカーとの交渉や量販効果などで価格を引き下げる努力が求められる。

(林英樹)

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