韓国の建築・建材市場 最新レポート【田 采輝氏】
第5回「韓国釜山市、環境共生建築政策への積極的な取り組み」
韓国の主要な地方自治体は最近、自治行政上で環境共生建築政策へ積極的に取り組んでいる傾向がある。気候変化問題に対応するため環境関連条例を制定している例も多く見られるようになった。
ソウル市は本年7月、全国地方自治体の中で初めて気候変化問題に積極的に対応することができる「気候変化対応条例案」を準備、立法予告した。この条例によると、来年から温室ガス削減に参加するソウル市民には金融・税制上のインセンティブが与えられる。温室ガス排出量低減設備などに投資した企業や建物を新・改築する際、ソウル市の環境共生建築基準によって建てられていた場合は建て主にもインセンティブが提供される。具体的な金融・税制基準は別途条例や施行規則に基づいて決定される。また、同市の条例では「乗用車曜日制」と「ノーカーデー(No Car Day)」の施行根拠を定め、小・中・高校で気候変化教育を実施するように規定している。
釜山市は最近、気候協約など国際環境変化に順応し、環境共生建物に対する関心が高まりつつある傾向に従い、10月20日より「環境共生建築基準」を施行することになった。対象は16階以上または延べ面積5000m2以上の建築物で、生態系保存、微気候活用、地形などを考慮した土地利用及び配置、ビオトープ、土壌、植生、建物緑化計画などの外部空間造成技法、自然採光、太陽熱、風力、地熱などの様々な新再生エネルギー活用など部門別環境共生的な建築の多様な設計手法が含まれている。
このために釜山市はその間、環境建築専門家で構成された建築委員会小委を設置し、「環境共生建築基準」の準備検討会議を定期的に運営してきた。この委員会では最近国内外の都市や学界などで散発的、競争的に発表されている環境共生建築に関する内容について、釜山市の経済や社会与件を配慮し、実践可能でありながら效果の大きい内容をまず施行し、今後の市の経済状況などの動きに沿って順次に改善していく方針である。
これから施行される「環境共生建築基準」は、設計段階では建築設計の標準となる「建築設計マニュアル」として活用され、審議段階では「建築審議基準」として利用され、最終建築許可段階では「建築許可指針」に有効に使われることで、その活用度を倍増させるという考えだ。
「釜山市環境共生建築基準」の内容をまとめると ▲環境計画としては敷地生態保存及び気候順応計画、自然環境との共生的な計画、環境負荷低減のための適正計画、室内環境及び健康快適性計画、長寿命建築計画 ▲設備システムは機械室及びシステムの合理性、換気及び熱回収システム、電気及び自動制御システム、小形熱併合発電システム、エネルギーの総合的な制御の冷暖房システム ▲省エネルギーとしてはエネルギー性能指標(EPI)導入、中水と雨水利用などの水資源節約計画 ▲新再生エネルギー利用システム計画の場合、太陽熱給湯と暖房、太陽光発電、地熱設備、風力発電、太陽光採光システムなど環境にやさしい様々な工夫を取り入れることができるようになった。
釜山市は国土海洋庁、環境庁、ソウル市などで施行している環境共生建築政策が公共建築物に限定していることに対して、その用途や規模などを検討して民間建築物に対しても「環境共生建築基準」を適用させることにより、この政策に対する十分な效果と実現可能性を期待している。
とりわけ釜山市は来年10月、釜山で開催予定の第3次経済協力開発機構(OECD)世界フォーラムで気候変化問題を主要議題で取り扱うことにしている。このフォーラムにはUN、世界銀行、UN開発計画(UNDP)、ヨーロッパ中央銀行(EC)、ヨーロッパ環境機構代表、ノーベル賞受賞者、企業CEOなどおよそ1500人が参加する見込みで、「持続可能な発展、生活の質向上、気候変化対策」などについて議論する予定である。釜山市はこのフォーラムを通じて市民たちが気候変動問題に自ら関心と興味を持つように誘導する方針だ。

(田采輝、仁済大学工学部建築学科教授・工学博士)
田 采輝氏 プロフィール
韓国釜山生まれ。東京大学工学部建築学科博士課程(工学博士)。
東京大学及び米国ワシントン州立大学訪問教授。釜山アジア大会組織委員会委員、釜山市及び慶尚南道諮問委員会委員、社団法人釜山国際建築文化祭組織委員など歴任。現在、韓国・仁済大学工学部建築学科教授。
Email:archjon@inje.ac.kr














